見出し画像

デザインと対象

先日、ローソンPB(プライベートブランド)の商品パッケージがリニューアルされたのをご存知だろうか。ほとんど全ての商品がこの写真のようなデザインで統一されており、従来のコンビニを連想させないようなそのシンプルさが話題となっている。

このデザインは、SNS(主にインスタグラム)で話題となっており、シンプルで可愛い、オシャレなどと若者には概ね好評。「パケ買い」して部屋のインテリアとともにSNSに載せ、「インスタ映え」を狙う者もいるほどだ。

しかしその一方で、このデザインに苦言を呈す者も多い。このシンプルさは裏を返せば単調。第一に商品の区別がつけづらく、その類似した見た目や読みにくい文字のために間違った商品を買ってしまったという事例も多い。さらには購買意欲も掻き立てられない、などと商品デザインにとっては致命的な意見も見受けられる。

デザインの在り方はとても難しい。

私がデザインに関して思うことは、どのようなデザインのものでも最低限踏まえておかなければいけないラインがあること。そして、それを踏まえたデザインの上で消費者は、必ずしも皆ターゲット層に当てはまるわけではないということである。

誰もが日常的に使う場所において最も優先されるべき事項はユニバーサルデザインであるかどうかだと私は考える。「ユニバーサルデザイン」とは、「文化・言語・国籍や年齢・性別などの違い、能力などにかかわらず、出来るだけ多くの人が利用できることを目指したデザイン」のことであるが、先程例に挙げたローソンのPBデザインにおいてはその意識がいくつかの点において欠如しているのではないかという印象を受けた。小さい子どもやお年寄り、色覚異常を持つ人は果たしてそのパッケージを見て必要な情報を直感的に得ることができるのだろうか。従来であれば必要としなかった負担につながっているのではないだろうか。

そう考えると、やはりこのデザインは消費者に対する思いやりが足りないような気がする。これはもはやマーケティング云々の問題ではなく、コンビニという誰もの日常に寄り添った存在であるからこそ最低限満たしておかなければならないラインを超えられていなかったという意味での意見である。

ただ、この意見と「購買意欲を掻き立てられなかったので最悪なデザインだ。」という批判は似て非なるものである。どうもこの手の批判は若者というよりは中高年から発せられることが多いような気がするが、彼らはもういい加減気づいた方がいい。自分はその商品デザインのターゲット層には含まれていないと。

私はローソンの商品デザインに携わっているわけでもなければ、デザインを専門に勉強しているわけでもないので断言することなどできないが、おそらく、ローソンPBの商品デザインのターゲット層は若者層、丁寧な暮らし、やさしく落ち着いたデザインを好む層だと思われる。本来であればその層に含まれていない人たちがこの論争にあやかって、あれやこれやと揚げ足を取っているのは、同じデザイン批判でも優先度というか本質が違うように感じる。

デザインの在り方はとても難しい。

が、誰にでも愛されるデザインというのはきっとないのだと思う。

だって私の父のような「カップ麺蒙古タンメン中本」が好きなタイプの人間と、私の母のような「無印良品」が好きな人間のデザインに対する嗜好が全く同じであるということは考えられないから。

デザインの在り方はとても難しい。

(カップ麺蒙古タンメン中本はどうやらセブンイレブンでしか販売していないらしい。しまった、もう少しいい例を考えれば良かった。)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?