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アーティストとして生きること

ずっと悩み続けてきたことがある。
「お金にならないことはしてはいけないのか」ということだ。

「それはお金になるの?将来はそれで食べていくつもりなの?」
アーティスト活動をするなかで誰しもが聞かれるであろう質問だ。
「イエス」と答えればやめておけと言われるし、「ノー」と答えれば覚悟が足りてないと思われたりする。

人の意見が気になって仕方がない質なので心の中で思う事があっても言葉に出来ずにいたが、それは自分の中でもどちらなのか分からなかったからだ。

そんなわたしが腑に落ちたのが現代芸術家・宮島達男のこの一節である。

アーティストとして生きること
はっきり言って「絵で飯は食えない」。
誰もがわかっていることだが、「プロのアーティスト=絵で飯を食う人」という幻想を持ち続ける者は意外に多い。
元来、アートは職業になじまない。職業とは誰かのニーズがあり、それに応えて初めて成立するものだ。ところが、アートには他者のニーズがなく、自らの思いをカタチにするだけだから、そもそも職業とはなり得ない。しかし、ごくまれに作品が売れて、食えるケースがある。これが幻想の原因となる。

宮島達男「芸術論」

わたしは「売る」ための作品を設えることが苦手であるし、嫌いだ。
お金はもちろん好きだし、たくさん持つことに何ら抵抗はないのだが、アートという商品の生産者にはなりたくないのだ。「売れた」「売れなかった」は評価であると思い込んでいた自分がいて、決して売ってはならない心や魂を売りものしようと悩んでいた。結局そんなものは作れなくてまた悩んだ。そんな時期が長かったように思う。

アートとは何か、芸術とは何か。
これからはそれを明確にしていくために、ひとつひとつ自分なりに定義付けしていこうと思う。

それがわたしの考えるひとつのアーティスト像である。


risa ogawa