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「青い蝶の飛ぶところ」のつづき。 (後書き&曲紹介)

これは先日公開した作品青い蝶の飛ぶところ後書き曲紹介記事です。

「青い蝶の飛ぶところ」で登場する曲の歌詞(スペイン語)と、その日本語訳を載せています。(本当に素晴らしい曲なので、ぜひ聴いてほしいです・・・!)
日本語訳は、私が独自につけたものですので、意味の異なるところがあるかもしれません。ご承知おき下さい。


- Back Story-



彼女との出会いはカウチサーフィン。

プロフィールのレビューを読むと
「優しくて最高の夫婦」「料理上手であたたかい二人」
などの言葉が並んでいて、
夫婦で暮らす家のお世話になるのだと思いこんでいました。

いざ家につくと、彼女はひとり。

パートナーの方はどこかに出かけているのだろうか、と考えていると、
冒頭に書いたとおり、旦那さんが3年前に亡くなったということを教えてもらったのです。


詳しい経緯は聞いていないですが、
きっと突然のことだったんだろうと思います。

「メキシコシティにはもう居られなかった。
あの町は危険すぎる。」

故郷メキシコシティからずっと東の町に引っ越してきた理由のことをそう語っていました。

新しい街ではたくさんの友人をつくり、
いつも賑やかに過ごしている様子の彼女。

でも、綺麗に整えられた部屋には彼との写真は一枚もなく。

それは彼女が苦しみを抱える証でも、
前に進もうとしている証でもあるのかもしれません。

.

独りよがりではない明るさを持った彼女は、
見ず知らずだった私たちをあたたかく迎え入れ、
たくさんの話をしてくれました。

彼の方が料理が得意だったこと、
彼女がコミュニケーション担当だったこと、
お骨は海に撒いたこと。

命日、お気に入りの旅先、思い出の場所。

顔も名前も知らないけれど、
彼女の口から語られる彼は、とてもやさしくあたたかく。

会ったこともないのに、
彼がいないことを、彼といた彼女を見れないことを、
寂しく感じてしまう。

そんな不思議な体験をしました。

.

この話を聞いた時も、今も、
私の心にはずっと戸惑いがあって
それを言葉に込めました。


言葉が勝手に踊り出さないように、
手綱をしっかり引いて、
ゆっくり一語を踏み締める。


この言葉じゃない
この表現はちがう
何度も後戻りして書き直し
形にするまで約半年。


実を言えば、
まだこの作品に自分自身納得がいっていない部分もあって、
自信を持って「完成」とは言い切れない状態です。


彼女の気持ちを想像しきれないことは明確だとしても、
本当に想像のベストを尽くしたんだろうか。

言葉に酔って大切なものを忘れてはいないだろうか。

何度も自問して、まだ心配は残るけれど
私ひとりで煮詰めるよりも、
だれかと共有したほうが新たな気づきが生まれるかもしれない。
そう思ったので公開します。


特に終盤部は自分の信条がかたまらないこともあり、書く上で葛藤がありました。

私には死後のことはわからないし、
スピリチュアルな世界観を語りたいわけではない。

だから、亡くなった彼が
あたかもそこにたしかに存在しているような書き方はしたくない。

でも、彼女が彼を想う気持ちには寄り添いたい。

そして不思議なことに、彼女が彼を想う時、たしかに私も顔も知らない彼の存在を”感じた“。

この曖昧さを今の私にできる限りで詰め込んだのが、
最後の文章です。

かたくなってしまったけれど、
私が彼女と過ごした特別な時間を、
そこにあった優しさを、ぬくもりを、
少しでも感じ取っていただけたら嬉しいです。

ご購入いただき、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。


.

曲紹介


文中で登場した曲はこちら。


スペイン語歌詞と、日本語訳。
(スペ語素人な私の訳なので、ちがうところがあったらごめんなさい🙇‍♀️)


Mariposa Azul - 青い蝶


Quisiera que me vinieras a visitar
Me cuentes si es con permiso o así nomás
Quisiera me traigas tiempo pa' regalar
Porque aquí nadie sabe cuándo se va

貴方が私のもとに会いに来てくれたらいいのに
許可制なのか、自然に来れるのか教えて
私がもっと(貴方に)尽くすための時間をくれたらいいな
だって、ここではいつ誰が去ってしまうか誰にも分からないんだから


Quisiera que me vinieras a visitar
Verte aunque sea tan solo un ratito más
Ven pronto para que escuches la canción
Que compuse, porque te siento en mi corazón

貴方が私のもとに会いに来てくれたらいいのに
ほんの少しだけでもいいから、貴方を見たい
この曲を聴けるように 早く来てね
貴方を胸に、私が作ったこの曲を


Desde que te fuiste, y desde que no estás
Una mariposa azul vuela en todo lugar
Desde que te fuiste, y desde que no estás
Una mariposa azul vuela en todo lugar

貴方が逝ってしまってから、貴方がここにいなくなってから、
青い蝶がどこにでも飛んでいるの
貴方が逝ってしまってから、貴方がここにいなくなってから、
青い蝶がどこにでも飛んでいるの


Quisiera que me vinieras a visitar
Me traigas a los amigos que has hecho allá
Y me cuentes esas historias, tus chistes y tus memorias
Que tanto me han hecho falta, y me hacen llorar

貴方が私のもとに会いに来てくれたらいいな
貴方がそちらで作った友達も連れてきてね
そして貴方の話を、冗談を、思い出話を聞かせて
恋しくてたまらないの 涙が出るほど恋しいのよ


Desde que te fuiste, y desde que no estás
Una mariposa azul vuela en todo lugar

貴方が逝ってしまってから、貴方がここにいなくなってから、
青い蝶がどこにでも飛んでいるの


Y aún no entiendo porque, él te eligió a ti
Será que quería a alguien que lo agarre
Seguro ya se dió cuenta, que amabas más de la cuenta

なんで彼が貴方を選んだのか、未だに分からないわ
もしかしたら、彼をつかまえてくれるような人が欲しかったのかしら
今頃わかっているはずだわ、貴方がとても愛に溢れた人だって


Quiso hacerte una fiesta que no tenga fin
Y quiso hacerte una fiesta que no tenga fin, no
Quiso hacerte una fiesta que no tenga fin

貴方に終わらないパーティを開きたかったのね
貴方のために、終わりのこないパーティを
ずっと終わりのないパーティを開きたかったんだわ



Desde que te fuiste, y desde que no estás
Una mariposa azul vuela en todo lugar

貴方が逝ってしまってから、貴方がここにいなくなってから、
青い蝶がどこにでも飛んでいるの
(※繰り返し)

Una mariposa azul vuela, vuela, vuela
青い蝶が飛んでいるの

vuela
飛んでいるの....


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