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わがまま

わがままに生きたら、どうだった?
わがままに生きたら、きっと嫌われた。
1人くらいは、そんな私でも好いてくれたかもしれないけれど、きっと私はその1人すら嫌っていたかもな。

わがままに生きたら、どうだった?
わがままに生きたら、きっと私は人を殺した。
人を沢山傷付けて、取り返しがつかなくなっていた。常にイライラして悪い快楽を覚えたのかもな。

わがままに生きたら、どうだった?
わがままに生きたら、何でも手に入れた。
欲しかった服も、食べたかったケーキも、行きたかった旅行も全部できた。この世の全て手に入れても、物足りなかったかもな。


わがままに生きたら、どうだった?
わがままに生きたら、きっと身体は弱った。
何でもかんでも人に押し付けて、いいところだけ奪い取って、体も動かさず衰えた。ストレスにも弱かったろうな。


誰かと食べるご飯が美味しく感じることも、口にする食べ物が当たり前じゃないことも、柔らかな布団に包まれる安心感も、人に触れたときの悲しさ、
人の力になれた時の嬉しさ、人と共に乗り越える楽しさ、ぶつかり合う苦しさ、失う事の怖さ、切なさ、悔しさ、強さ、喜び、そのぜんぶ。

全部が。

その全部が。

知らないままだったろうな。

知らないまま。ひとりぼっちだっただろうな。
ひとりぼっちは寂しいな。
助けて欲しくて手を伸ばしても、わがままだったら目すら合わせてくれないだろうな。
わがままだったら、怯えられ逃げられるのかもな。

そんなことばかり考えて生きていたから、わがままになるのが酷く怖い。きっと気付いていないだけで自分はすでに、わがままなのだけれど、何かに我慢して自分を罰していないといけない気がしていた。


それって、勘違いだったのかもな。


もっとわがままで良いのかもしれないな。
わがままって、案外、難しいのかもな。

あーぁ。
あなたのような
上手なわがままに…なりたかったよ。

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