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捨てる?捨てない?

子供たちはね、捨てろ捨てろ、ってうるさいのよ、でもね、私はこれからは思い出と共に生きたいのよ、ああ、こんなこともあった、これはあの時に買った物だ、って。だからね、子供に何と言われようと、捨てません。そりゃあ、見られて困るようなものは捨てるわよ、でもそれ以外のものは私が死んでから、子供たちに何とかしてもらうわ。それくらい子供がやったっていいでしょう?

70代の女性は、そんなふうに言った。

思い出と共に生きたい、それは老い先短くなってからの、至極もっともな感情だろうとも思えた。


そんな人がいる一方で、80代の女性はこう言った。

残しておかれたって子供は大変なだけでしょう?だから少しでも処分していかないとね。あの子たちだって、自分たちの生活が大変なんだもの。


終活において、モノを捨てるか捨てないか。

それは、その人の、モノに対する考え方とか、あるいは子供との関わり方とかそういう違いによるのかもしれなかった。


ただ、私は、捨てまくってから、死にたい、と思う派。

ロンブー淳の、看護師だったお母様が、入院中の一時帰宅なども利用して、下着ひとつ残さずに亡くなった、という話に感銘を受けるほどの。


終活に限らず何であれ、結局人は、自分の美学に見合った行動しかとれない。

何を美しいと思うか、何を野暮ったいことだと思うか、それは人それぞれで、自分とは異なる美学を持つ人がいる、のは当然のこと。

それは、親であろうと変わらない。

だから、ただそれを受け入れるしか、ない。


残したものの処分をそれくらい子供がやったっていいでしょう?と言うのも、子供の手間ひまを一切考えない身勝手さ、とも考えられる一方で、それだけ子供を信頼していたり、自分の生きてきた軌跡を、死後子供に見せたいのかもしれない、とも思えたりする。

そういう人は、自分が死んだ後も、子供に思い出してほしいのかも、しれない。


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