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【成果に繋がる実践UXリサーチ入門】プロダクトの制作フェーズで行うべき3つのUXリサーチ手法

この記事はCreatorZineからの転載です。
https://creatorzine.jp/article/detail/1387

UXデザインにおける大切なフェーズであることは理解しているけれど、どのように進めればいいかわからない。「定量リサーチ」、「定性リサーチ」という言葉は聞いたことがあるけれど実践できていない。本連載ではそんな方に向け、現場で使える具体的なリサーチの手法や業務への取り入れ方をお伝えしていきます。第3回のテーマは「プロダクトの制作フェーズでのリサーチ手法」です。

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 こんにちは!株式会社アジケでUXデザイナーをしている佐藤李里(サトウリリ)です。

 前回は、アイディア発掘フェーズでのリサーチ手法をご紹介しました。これらの手法を使うことで、ある程度プロダクトの方向性を決めることができると思います。

 しかし、実際にワイヤーフレームやUIデザインを作ろうとすると、どう作ればよいのか迷う部分がたくさん出てくることも多いのではないでしょうか。そんな時に、会議室で議論するのではなく、ユーザーにアプローチすることで、エビデンスを持ってユーザーのためのデザインをすることができます。今回は、プロダクトを形に落とし込んでいく制作過程で、意思決定をサポートするためのリサーチ手法についてお伝えしていきます。

 まずは、競合サービスが多く存在するマーケットへの新規参入を検討している場合にオススメの手法についてです。

手法1)競合テスト


概要
競合サービスの既存ユーザーを被験者とし、競合サービスを使っている様子を観察したり、その不満な点などを聞き出す方法です。

メリット
サービスを作る前に既存プロダクトの課題を知ることで、同じ間違いを防ぐことができます。また、ユーザーの使いかたを実際に見ることで、自分のサービスに取り入れるべき機能や特徴のインスピレーションを得ることもできます。

方法
競合のサービスを使っているユーザーを探し、普段どおりにサービスを使ってもらいます。その様子を観察したり、プロダクトの好きなところ、苦手なところ、困っていること、あったらいいなと思っている機能や、どのようにそのサービスを知ったのか?などについて質問をします。


 ふたつめにご紹介するのは、素早くプロトタイプを作り、デザインの初期段階でコンセプト・アイディアの検証をする方法です。

手法2)ペーパープロトタイピングテスト


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出典:https://dribbble.com/shots/2747907-Paper-prototyping-in-action1

概要
紙で画面のラフスケッチを書き、それをプロトタイプとして実際にターゲットユーザーに試してもらいます。

有効なシーン
サービスのコンセプトについて、ユーザーにより深い意見を聞きたい時に有効です。たとえば前回ご紹介したLPテストでは、サービスコンセプトや大まかな機能はわかっても、それがどう画面に反映されているのかを検証することは難しいです。

画面イメージがない状態で「こんな機能があったらほしいですか?」と聞くと、ユーザーは「ほしい」と答えることが多いですが、それは「ユーザーが理想としている想像上のプロダクト」をイメージしての回答です。一方、ペーパープロトタイプを作成することで、実際にどんな形になるのかをユーザーがイメージできます。そのため、より深いニーズや課題感を確認することが可能です。

メリット1)チームの誰もが時間をかけずに作成することができる
デジタルプロトタイプの場合はある程度デザインツールの知識などが必要ですが、ペーパープロトであれば、チームの誰もが作成することができます。そのため、思い立った時にさくっと作り、意見を聞くことが可能です。またプロジェクトの初期にあえて、デザイナー以外のステークホルダーも含めて作成しテストを実施してもらうことで、ステークホルダーの参加意識を高め、よりよいチームビルディングにもつながるでしょう。

メリット2)より率直な意見が聞ける
デジタルプロトタイプを用いたユーザーテストは多くの場合で有効ですが、参加者は「良いことを言わなきゃいけない」という心理が働き、思ったとおりの批判を口にしてくれないこともあります(とくに対価をもらっている場合はなおさらです。)しかし、ペーパープロトの場合は紙で簡易的に書いていることから「まだ仮の状態である」ということが参加者も想像できるので、より本音の意見を言ってもらえるメリットがあります。

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やり方


ペーパープロトタイピングの作りかた
ペーパープロトタイプを作成する方法はたくさんあります。とにかく「詳細にこだわらずにラフに早く作る」のであれば、付箋に太めのペンを使って書くのが最適です。そのほかにも、スマホの枠が印刷された紙のテンプレートを使用して作ることもできますし、(ダウンロードはこちら)、擬似的にスクロールできるように工作をすることも可能です(参考サイトはこちら)。作りかたはその用途に合わせて、時間をかけずに検討しましょう。

ペーパープロトタイピングでのテストの仕方
実際に被験者を探し、使ってみてもらいましょう。ファシリテーターのほかに、「コンピュータ役」を用意し、被験者の行動に合わせて、表示する画面を変更していきましょう。

使ってみてもらったあとに、質問や感じたこと、もっとこうあってほしい、というような率直な意見を聞いてみてください。もらったフィードバックをもとに、サービスを改善していきましょう。

手法3)カードソーティング

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出典:https://i0.wp.com/dev10devoptimalworkshop.wpcomstaging.com/wp-content/uploads/2020/02/Demo-OptimalSort-Open-Sort_FA_x2.jpg?resize=1200%2C750&ssl=1

概要
ユーザーの視点でわかりやすい情報設計を行うためのリサーチ方法。カードにトピックを書いておき、そのカードをユーザーに分類してもらいます。

有効なシーン
情報の分類に迷った時に有効です。たとえば、ナビゲーションの設計を考える際に、各メニューをどんなカテゴリの配下に置くべきか、悩むことがあるかと思います。そんな時にカードソーティングを行うことで、ユーザーにとっての見つけやすさを担保することができます。

手法
カードソーティングは大きくふたつの方法があります。

オープンカードソーティング
ウェブサイトやプロダクトのコンテンツをひとつずつカードに書いておきます。それを被験者にグルーピングしてもらい、それぞれのグループに名前をつけてもらう方法です。
クローズドカードソーティング
すでにこちらで決めたカテゴリーに、カードを分類してもらう方法です。

クローズドカードソーティングは、すでにカテゴリーが決定している場合に使用します。一方オープンカードソーティングは、まだカテゴリー名が決まっていない場合に、カテゴリー名のわかりやすさまでユーザーに検討してもらうことができます。

カードソーティングはオンラインでもオフラインでも行うことができます。オフラインの場合は実際に物理的なカードを作って、そのカードを並べ替えてもらい、オンラインではツールを使ってカードを並べ替えてもらいます。

ユーザーやリサーチ実施者が英語に抵抗のない場合、OptimalSortという専用のサービスを使うことで、簡単にオンラインでカードソーティングを行うことができます。こちらのサービスはGoogle Formsのように非同期的に行ってもらうことができ、かつ自動で簡易な分析も行ってくれるので、とても便利です。

(カード自体は日本語で作ることができるので、適切なインストラクションを別途作成しておくことで、こちらのサービスを使ってテストしてもらうことも可能だと思います)

上記のようなやりかたで15名程度に実施してもらい、結果を見ながら分類方法を決定してきましょう。

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 いかがでしたか?今回はプロダクトを形に落とし込んでいく過程で意思決定をサポートするためのリサーチ手法を3つご紹介しました。今回お伝えした方法などを使いながら制作を進めることで、エビデンスを持ってプロダクトの仕様を決めていくことができると思います。

 次回は、リリース前やリリース後によりよいサービスに改善するためのリサーチ方法をお伝えしていければと思っています。お楽しみに!


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