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人間の本質を『さがす』エンターテイメント・スリラー映画「さがす」

基本的には善人だけど、情けない所があって悩んでしまうと弱さゆえにとんでもない境界線をサッと飛び越えてしまう人がいる。佐藤二朗演じる原田智はまさにそんな人物だった。  

貧困や家族の問題は普通の人間を果てしなく追い込むし、指名手配中の連続殺人犯の山内がそんな悩みの隙間にスルッと入り込む描写はゾッとした。思わずスクリーンのこちらから「あかんて!やめとき!駄目!」と声をかけたいくらいだった。捕食する側の人間は常に獲物を狙っている。演じた清水尋也さんはとても整った綺麗な顔立ちの方なのに、劇中で見ると不気味で気持ちが悪くて素晴らしかった(褒めてます)境界線は一度とびこえてしまうと、そこからはもう歯止めがきかない。智の様になってしまう人いてもおかしくないな、と思わせるリアルさ。  

あと、脇役だがムクドリさん役の女優さんが「全裸監督」のAV女優役の子だったと知って驚いた。色々挑戦的な役者さんだと思う。劇中、エグくて恐ろしいのに笑ってしまうようなシーンがちょこちょこがあるのだけれど、片山慎三監督はポン・ジュノの助監督をされていた経験があるという事を聞いて納得がいった。

結果的に娘・楓の芯の強さと好奇心は父の脆さを暴き『さがして』見つけてしまう。それが良かったのか、悪かったのか・・・・・・。シネフィルだけでなく、それこそ「パラサイト 半地下の家族」のように一般的にもっと知られていいエンタメ作品だと思うし、何かしらの賞は獲るべきでは?と思わされる素晴らしい映画。激推しです。

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