不審者と露出狂と痴漢とストーカーの話。

 個別に記事にするほどの出来事ではないけれど、ふと思い出して書くことにした。簡単に言えば性犯罪の被害に遭ったよっていうお話だ。

 小学生の頃に住んでいた家は、川と畑と住宅地に囲まれた坂道のてっぺんにあるマンションだった。

 ある時配られた防犯マップという、不審者情報の多い道や人通りの少ない道などの載った簡易的な地図を見て驚愕した。小学校から私の家まで、どのルートを選んでも安全な道がなかった

 先生に「私、全部の道に不審者マークと人通り少ないマークがあります」と言ってしまうくらい驚いた。苦笑されてスルーされたことにはもっと驚いた。


 まず遭遇したのは不審者。小学校からの帰り道。
ケータイの写真を見せながら「これ、何かわかる?」とにやにやしながら話しかけられて、「分からないです」と言って足早に立ち去った。写真には男性の全裸が写っていた。


 次に中学生の頃、朝早くに友達とウォーキングに行く約束をして、友達の家に向かう途中に露出狂のおっさんに遭遇した。

 気味が悪いことにひたすら追いかけられた。何度も巻こうとしたけれど、さすが田舎とあってどこの道に入ってもすぐに見つかって、慌てて逃げた。

 捕まったらどうなるんだろうと恐怖で、おっさんとの距離が開いた瞬間に細い路地に入って全力で走り、目隠しフェンスのようなもので囲われた家の庭の隅に丸くなって隠れた。(不法侵入だけど、もうそこ以外隠れるところがなかった)

 しばらくしてフェンスの向こう側を歩いていくおっさんの足音と、引き返していく足音を聞いて安心した直後、怖くて震えていたことに気付いた。

 青いパジャマ姿、白髪混じりの禿げた頭に、顔のパーツが中心にがつんと寄っていた印象だけは今でも忘れられない。後にも先にも、生理的に無理だという顔に出会ったのはこのおっさんだけだ。

 その後おっさんを見かけるという噂は何度か耳にしたけれど、集団のギャル達が「ちっさ!恥ずかしくないの?ウケる!」とおっさんに言った辺りから露出狂の話は消えた。近所に住むおっさんだったので身元が割れていたから逮捕されたのかもしれないし、ギャルの中傷に心を病んだのかもしれない。

 続いて、学校から帰宅途中に原付バイクに乗った男に通り過ぎ様、胸を触られそうになった。これは私が間一髪で横に避けたので未遂で終わった。

 大通りの辺りから、同じ原付バイクの音が何度も何度も聞こえてくるなとは思っていた。だから少し用心していたのが幸いした。だけど今でも後ろからやってくるバイクの音には構えてしまう。

 ズーマーのあの特徴的なエンジン音が忘れられない。


 続いて高校生の頃。帰り道に後ろから突然スカートを捲られた。

 再びこちらに向かって来ようとする小太りの男に向かって、「やめてください」というのが精一杯だった。警察に電話すればよかったけれど、怖くて動けず、家に帰ってからも家を知られていたらどうしようと頭が警察に回らなかった。

 そして通学の電車。何度も痴漢に遭遇した。

 車両を変えてみたり、スカートをなるべく長くしてみたり、色々試したけどダメだった。ちなみにスカートを長くした時の方が痴漢率は上がった。きっと大人しくて声を上げられないように見えたのかもしれない。

 あと、電車の扉の真横はレッドゾーンだ。降りる時に触られたり、満員電車を利用して股間を押し付けてくる輩がいる。かと言って、つり革を握っていても揺れに合わせて触ってくる奴らがいる。結局のところ改善策は、女性専用車両を利用するの一択だった。


 社会人になってパンツスタイルのスーツを着るようにした。

 だけど残念なことに数は減らせても痴漢の被害に遭うことはあった。いい加減、痴漢というものに逢いすぎて度胸がついたので周りに聞こえる声で「痛いんですけど」と言ってみた。痴漢です!とは言えなかったけれど、そこからは人目を気にしてか何もしてこなくなった。

 あと、キャバクラや風俗等のキャッチのお兄さんに声を掛けられることが多くなった。結構しつこい。だけど彼氏とのペアリングを左手の薬指につけるようになってから、そういったキャッチはぱたりと消えた。近づいてくる気配はあっても、指輪を見ると標的を変えるらしい。独り身でもつけておくと、キャッチやナンパの類は圧倒的に減ると思うので左手の薬指で指輪はオススメ


 それからストーカーの話。

 一番怖かった話をここに書くと、職場に無言電話がかかってきたり、一人暮らしのマンションで真夜中にインターホンが鳴ったり。私の携帯番号に非通知で電話が掛かってきたり。

 めっちゃ怖かった。が、知らないうちに収まった。何もなくて良かった。

 ストーカーは他にも細々とあるけれど、私の場合はどれも知り合いだった。元彼だったり、告白を断った人間だったり、恋愛の縺れは怖い。

 あ、あと生き霊を飛ばされたこともあった。

 少し話が逸れるけど、とある人の告白を断ってからキッチン辺りからガサガサ、パチンと音がするようになった。虫かと思ったけど違った。

 私は、作り物のホラーに関してはめっぽう弱い。だけど、本物を感じたり見ても全く怖いと感じない。理由は分からない。

 だから、ラップ音を聞いて全く怖くならない自分の感性に、これは本物かもなぁと思いながら過ごしていた。そして日増しにひどくなってきたところで、いい加減うるさくてイライラしてきたので何もないところに向かって思いつく限りの暴言を出来る限りの大声で怒鳴ってみた。

 そしたらあら不思議。音がぱったり止みましたとさ。

 話が逸れちゃったけど、人間って怖いよね。とまとめておこう。


  ※変質者のイラストはオオスキトモコさんから拝借いたしました。ありがとうございます。

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