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遅まきの青春がもたらすもの

 仕事を辞めることを決めて、美容師さんに報告した時、「これまで出来なかった髪色にチャレンジしたいんですよね」と言うと「いいですね!それ」と即、賛同してもらえた。

 これまでは医療職だったので、髪色の縛りがあった。美容師さんには自分の職業を明らかにしていなかったので、これまでは「今度はもう少し明るい髪色にしませんか」と提案されても「う~ん。職場の決まりがあるので」と色のトーンを下げてもらっていた。でも、実のところ金髪とかにも興味があった(笑)。

 それで美容師さんに退職を告げ「仕事辞めたら、差し色に赤とか緑とか入れてみたいんですよねぇ」というような話をしていた。で「COCOAさんに合う髪色、私も考えておきますね」と3月に美容院で言われていて、4月に入ってとうとうその日が来た。

 美容師さんから提案されたのはインナーカラーだった。髪の内側を目立つ色に染め、一見、外からは分からないのだけれど、風が吹いたり、髪をかき上げたり、耳にかけたりすると、内側のカラーが見えるというオシャレなもの。

 私は基本的に美容師さんを信頼しているし、他者の提案(とくにプロ)の提案は確かだと思っているので、とりあえず一度はお任せすることにしている。なので、今回も美容師さんの提案に乗ってみた。

 初回のインナーカラーなので、美容師さんは赤や緑よりも金髪に近いベージュがいいのでは?というので、それも任せてみた。

 で、仕上がりはどうかというと、自分が思っていたよりも上品に仕上がった。それでも、これまでの職場の規定色に比べると、ずいぶんおしゃれだ。これでライブとかに行くと、なかなかいいんじゃないか?と自分でも思った。

 次はネイルだな。

 ネイルも職場の規定でできなかった。そもそも爪が弱いので、あまり向いてないのだけれど、一度トライしてみたかった。遅まきの青春、ってやつだ。

 まず見た目の解放から。

 30年間、勤めている間、知らず知らずに縛られてきたものがたくさんある。まずはそれを解除しよう。これまで職場では着られなかったオシャレな服も日常的に着て、お化粧もちゃんとしよう。

 インナーカラーはいたく気に入った仕上がりになった。ちょっとした生まれ変わりの気分だ。そのせいかどうか分からないけれど、昨夜は仕事の夢を見ずにぐっすり眠れた。退職して初めてのことだ。

 身体の解放って、こころの解放に効くのかもしれない。

 昨夜の夢はミュージシャンのオーディションを手伝っている夢だった。髪色を変えるだけで、夢の内容まで変わるんだから、人間って単純で可愛い生き物だ。

(つづく)

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