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【睡眠衛生指導】活動時間中に“がっつり”眠るのは、お勧めできない

【睡眠衛生指導】活動時間中に“がっつり”眠るのは、お勧めできない
「デイケアの中のひとが語る、精神科まわりのあれこれ」#74

 私たちのデイケアには、畳敷きの休憩スペースがあります。スペースや部屋に余裕がないデイケア施設でも、リクライニングチェアーやソファーベッドを置くなど、休憩スペースの確保を心がけているのではないでしょうか。

 パーソナルスペースを保つことが難しい患者様にとって、心身がリラックスできる場所は、安全安心を確保するための大切な手掛かりとなるでしょう。また、活動と休息のバランスの観点からは、休息をとるための場所が必要であることは、いうまでもありません。

 畳敷きのスペースでは、患者様は横になって眠ることができます。患者様の疲れやすさを知っている私たち(デイケアの)スタッフは、疲れを訴える患者様に対して、活動時間内であっても、横になって眠ることを容認する、時には推奨することすらあります。しかし、横になって“がっつり”眠ることは、必ずしも正しい対処ではないかもしれません。

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 私たちの睡眠は、寝始めにすとんと深い睡眠(ノンレム睡眠の中でも、深い睡眠段階)に入ってしまうという特徴があります。また、日中に深い睡眠をとってしまうと、概日リズムが狂ってしまい、本来就床するべき時刻(夜間)に睡眠をとりにくくなってしまうことがあるのです。

 ただ、日中の眠気などの理由で、どうしても午睡をするのなら、完全に寝る態勢を取らず(机に突っ伏す、など)に、20分程度うとうとする(パワーナップ、などということもある)のがお勧め。疲労を取り、睡眠覚醒のリズムを回復させるためには、深い睡眠段階に入ってしまう前に午睡は切り上げたほうがいい、ということです。

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 不眠の問題に取り組むには、まず「睡眠」がどのような現象なのかを正しく理解し、対処することが大切です。

 人々の不眠を和らげ、睡眠の質を高めるための心理教育を、「睡眠衛生指導」といいます。精神科で働いていると、不眠の訴えを耳にすることが多いのですが、その対処は“睡眠薬”に偏りがちなのが現状ではないでしょうか(あるいは、日中でも構わず横になって休むよう“正しくない”指導をする、など)。睡眠薬は不眠に対し絶大な効果を発揮するものですが、多くの睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)には、常用量依存などのデメリットがあるもの。睡眠薬に頼りきりにならずにすむよう、睡眠衛生指導を適切に行うことができる知識とスキルを、私たち(医療者・支援者)は持っておくことが大切です。

(おわり)

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