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【睡眠衛生指導】お布団を、睡眠以外の用途で使わない

【睡眠衛生指導】お布団を、睡眠以外の用途で使わない
「デイケアの中のひとが語る、精神科まわりのあれこれ」#75

 前回に引き続き、デイケアにおける睡眠衛生指導に関する記事です。

 睡眠・覚醒という生理現象は、概日リズムに支配されているだけでなく、学習によっても影響を受けるというお話。心理学者にとっては、興味深い話題です。

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 夜間の不眠に見舞われると、それを解消しようと、行動面に変化が現れることがあります。例えば、「“少しでも体を休めておこう”などと考え、日中に布団で横になる」などで、これを適応行動といいます。

 そのような成り行きになるのは、自然な心理のように思えますが、実はこの適応行動が、夜間の不眠をこじらせて(遷延化させて)しまうことがあるのです。

 私たちが夜になると布団で眠るのは、概日リズムのほかに、毎日そのように習慣的に行動しているうちに、染みついた(学習された、条件づけられた、というと心理学者っぽい)から、という理由があるのです。

 日中に眠ってしまえば、そのような新たな行動が条件づけられてしまう可能性がありますし、布団で横になる(けれど眠らない)のは、睡眠以外の理由で布団を使うという、これまた新たな条件づけを作ってしまうかもしれません。そしてこれらの行動は、当然、概日リズムを乱し、夜間の不眠にさらなる悪影響を及ぼしてしまいかねないのです。

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 では、どうしたらいいのか。

 それは何より、「お布団を、睡眠以外の用途で使わない」ことが大切です。お布団の中でスマホをいじるなどは、論外(光を浴びることも、睡眠を妨げる)。夜、布団に入っても眠気が訪れない時には、そのままごろごろせず、いったん布団から出て静かに過ごし、眠気が来たらお布団に戻るようにするとよいでしょう。

 ちなみに、睡眠衛生指導では、寝床を“性行為”に用いることは容認されています。それはそうですよね。

(おわり)

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