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【漫画読書日記】どちらも読みがいありあり

まずは、たなか亜希夫氏の漫画
彼の漫画は原作者が別にいて、って作品も読み応えあるんだけど私が好きなのはこれ
『リバエンド カフェ』

震災後のとある港町が舞台

写真は、最終巻。
そう、もう完結しているんです。
主人公は女子高生。とある港町なんだけど、
震災の爪痕が生々しい。
そしてイジメにもあってるし、家族も亡くしている。
居場所は川が海に流れ込むところに立つカフェ。タバコの匂いたちこめかつ、清潔ではなさそうなマスターがやっていて。
そこで、ジャズに出会うんですね。
彼女は天才的に歌が上手く、YouTubeで世界から見つけられてしまって、卒業後はプロになるところで完結です。その後のカフェがどうなったか、は、ちょっと納得できない結末なんですが。それがまた余韻となって心のなかを掻き回し、引きずります。

不思議な、霊的な話もたまに混ざったり、
小さなおじさんが出てきたりもするけれど、人の温かさや、感情の根源が信じられる漫画。
読んで良かったです。
震災後の人たちの再生の物語でもあり、日常のなかに何かを見つけられる物語でもあります。

次は、安定?のうめざわしゅん氏の
デビュー作
『パンティストッキングのような空の下』

この表紙では伝わらない!

デビュー作として、誰からもなんの反応もなかったとかいう説はあるけれど、どうして?
ですよ。短編集。

これが描きたかったのか?ってわからないものもあったけど、『朝まだき』と、『唯一者たち』が良かったです。
特に『唯一者たち』、幼女への性犯罪で1度逮捕された男性が主人公。性癖は変わらない。犯罪を犯さないために二次元に逃げ、スーパーのバイト先でもコミュニケーションを取らず、心療内科に通って薬が手放せない。

そこに現れるのは幼馴染の女子。
彼女の人生観に影響されて、生きることに向き合うようになっていく。解決はしない。
生きる苦しさからは逃れられない、しかも10年前の被害者に会いに行き、ずっとずっと苦しんでいることを知る。
知らなかった、自分が彼女にずっと苦しみを与えていたなんて、って泣く。
自分の苦しみは自分の苦しみだし、相手にも苦しみを与えていたことに衝撃を受けるんですよ。
甘い…でもそんなものかもしれないんですよね、人って。 

どっちにしたって生きるのって辛いことだし、
何があるか分からないし、なんでも自分で向き合わなきゃならないことなんですよね。

ここに挙げた2作品とも、そんなことを考えさせてくれるものでした。

描きたいことの一貫性は、たなか亜希夫氏の漫画の方が私としては入りやすかったです。

まだまだ世の中には読み応えのある漫画がたくさん!

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