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【旬杯ストーリー・転】星降るエクスプレスに乗って

起ストーリー【B】/PJ 約100文字

風が吹き抜け、太陽が肌にじりじりと照り付ける。
今年は猛暑になるらしい。
海に行きたいと思った。
輝く海と、その水平線に浮かぶ白く大きな入道雲。
夏がやってくる。
生涯忘れることのない夏が。

⭐️承


⭐️転

菜々は時刻表に挟んであった切符を手に、東京駅へ向かった。


見たことのない切符だが、おそるおそる自動改札に入れるとすんなりと通れた。

夜でも多くの人が行き交う東京駅なのに、菜々の乗る予定である11番線のホームには誰ひとりいない。間違えたのかと時刻表を確認するが、やはり合っている。ほどなくして滑らかな濃紺の車体がホームに滑り込んできた。



菜々が乗り込んで席に座ると、列車はするりと動き出す。少し埃くさい車両の匂いや緩やかな揺れが、地元のローカル線を思い出させる。窓には室内の灯りが一列に映り込み、通り過ぎていく夜の街を眺めてるうちに、菜々はいつしか眠りに落ちていた。




「次は夢見駅、夢見駅に停車いたします」

アナウンスに目を開ける。停車してドアが開くと、見知らぬ男性が一人乗ってきた。同じくらいの年だろうか。彼が車両の前の方に座ると、列車はまた走り出した。


ふと窓の外を見ると、そこには遮るものひとつない星空が広がっていた。

どこまでも広がる暗闇に、煌めく星たちがひしめき合っている。手を伸ばせば届きそうな距離に、星が降り注いでいる。まるで、星の海のようだ。


「あれ?ここは..?」


街の灯りは何一つ見えない。
ずいぶん遠くまで来てしまったようだ。

時刻表をよく見ると、
夢見駅からはくちょう座が見えるらしい。

菜々が空にはくちょう座を見つけたとたん、はくちょう座が暗闇の空から切り取られ、青白く輝いて羽ばたき出した。その背には虹色に輝くものを乗せている。


時刻表にはこう書いてあった。

夢見駅では、七夕の時期になるとまれに大きな白鳥が飛んでいくのを見れることがあります。彼はその背に人々の夢を乗せて天の川へ運んでくれます。
(※なお、今年の七夕は旧暦で8月22日です)


「次は終点、美夢郷、美夢郷駅に止まります。ご乗車の皆さま、どうぞお忘れ物なきようよろしくお願いいたします」




・起ストーリー



🎆最終締切は7月21日です🎆


【承、転、結】
自由にストーリーを紡いでください📝


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