呼び出すお客様②
呼び出すお客様①はこちら
まず最初に呼ばれたのは
「知り合いが霊能者で部屋をチェックしたいと言ってるから」
という理由だった。
それを最初に聞いた時私は相当焦ってしまった。
(え・・・霊能者?ホンマモンか?別に事故物件でも何でも無い部屋だけど幽霊が見えるなんてぶっこまれたら何て返したらいいのか分からんし、そもそも悪霊がいます〜とかなったら契約解除を申し出てきたりするのか!?)
そんな考えが頭を瞬時によぎった。
というのも、あくまで私はだが常日頃契約後にやっぱり辞めたいと言ってトラブルに成ることを相当恐れていたので、この呼出は震え上がるものだったのである。
だが、ちょっとだけワクワクする気持ちもあった。
(霊能者とか初めて会うけど本当に何か見えるのかな?もしかしたらとんでもない何か見えたりしてな・・・)
そして約束の日、自称霊能者とご対面。
見た目は中肉中背だが、どこか高田純次を連想させる出で立ちの男性だった。
「初めまして、Fさんの友人のRです。今日は突然すみませんねぇ、私彼女が引っ越す前は必ず内見して中を見てあげててね。悪いもんが憑いてないかチェックしてあげてんのよ。」
そう朗らかに彼は言い放ち、私はなんと返していいかわからなかったので「そうなんですね〜」と適当に相槌を打ちながら鍵を開けると早速Rさんは霊チェックに入った。
(一瞬、それなら申し込む前にしてあげたほうが良くない?と思ったがそれは黙っていた)
R「うんうん、部屋番号は問題なさそうだな。日当たりの方角も良しっと。水回りも〜うん、大丈夫そうね。後は・・・」
等とブツブツ独り言を言いながらササッとチェックをし、あっという間に霊チェックは終了した。
R「良し。Fちゃん、大丈夫だよこの部屋!特に何の問題も無し、引っ越し許可します!」
F「本当!?あ〜良かった>_<これで何か見えるって言われたら引っ越し辞めるとこだったから安心して出来るわ〜(笑)」
私はこの発言に内心(!?!?!?!?)となりながら無事チェックが終わり、その後は自称霊能者に「部屋番号と悪霊の密接な関係」なるものをしこたま説明されたがほぼ理解できず解散する流れとなった。
その後は無事F様は引っ越しを終え、新たな生活をスタートしたのである。
その初日、またF様から電話があった。その声には多少の苛立ちと焦りが浮かんでいた。
F「あの・・・昨日無事引っ越しを終えて今日から住んでるんですけど・・・」
私「あ!F様!無事引っ越しされたんですね〜良かったです^^」
F「えぇ、はい。ただですね、1つ問題がありまして。」
私「え!!何かお部屋に不具合等ございましたでしょうか?」
F「不具合というか・・・怖いんですよ。ガスコンロが。」
私「ガスコンロが怖い?・・・と申しますと?」
F「ここの換気扇がね!コンロの火を巻き上げて怖いんですよ!」
私「・・・?」
F「多分口で言っても伝わりにくいと思うので写真をメールでお送りします。確認出来ましたら直接見ても頂きたいので明日の夜来て下さいます?こんなんじゃ怖くて料理も出来ないので‼私の仕事が終わり次第連絡しますが19:30には帰れるかと思いますので。」
私「あ・・・分かりました。」
電話の後すぐにメールが届いた。
その写真はピントがずれていてよくわからなかったが、普通にフライパンに火をかけているだけのような写真が添付されていた。
(いや〜分かんね〜普通の料理中の写真に見えるわwこりゃ見に行くしか無いな・・・)
こうして二度目の呼び出しと共に残業が決定したのであった。
【続く】
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