三流カメラマン戦記 -スクールフォト編-
スクールフォトの話。
これはあくまで私の経験したもので、業界すべてがそうということではないということだけ先に書いておく。
写真学校に通っていたころ、先生が言ったことが印象的で今も頭の片隅に残っている。
「カメラマンとして食いっぱぐれのない業種が、スクール系とブライダル系だ。」
実は私は会社員時代から、とある全国的にスクールフォトの販売を主軸とした会社(以下A社)の業務委託契約をして、かれこれ20年あまりになる。
前提として、私はスクールフォト業界の中でもやはり底辺である。
長いことお世話になってるが、トータルして100件も仕事をしていない。
スクールフォト業界の業務委託とは:
学校側がA社に発注し、そこから私達カメラマンに仕事が発注される流れであり、ざっくらばんに言えば、登録制のカメラマン派遣バイトとも言える。
自分のスケジュールの都合のいい日に仕事をし、特定の学校に縛られずに色々な場所の学校に行って撮影をする。
noteで有名なスクールフォトの記事を書いている方は、学校から直接仕事を受けているのでスケジュールは固定されていて、学校も固定される。
ただし、それなりに安定した収入が入る(のか?問題は多いみたいだが)
今日では、少子化問題の影響はあるだろうが、それでもまだまだスクールフォトの需要は大きい。
一般的なカメラマン募集サイトを覗くと、スクール系とブライダル系が圧倒的に多く、次いでECサイトの商品撮影があるような状態だ。
批判を恐れずに書くと、スクール系、ブライダル系、ECサイトの撮影は
間口が広く、そこまでのスキルを必要とされないため、なろうと思えば、他に比べて比較的簡単にカメラマンになれてしまうのではないだろうか。
それでもスキルと経験がないと撮れないシーンはそれぞれあるということを理解しているのは自己防衛として書いておく。
これに関しては一つ話しておきたいことがある。
そのA社に登録する段階で、自分のプロフィールと所有機材を記入した。
標準レンズと70-200mmクラスのレンズ、キャノンの二桁D。
それだけで業務委託の契約条件をクリアできるのだ。(当時は)
過去に仕事でどういう撮影をしたとか、作品がどうとかいった、カメラマンとしての経験&スキルを確認されるまでもなく。
当時はカメラマンとしての一歩を踏み出せたことで嬉しかったが、冷静になって考えてみれば、アマチュアクラスかそれ以上の機材を持ってれば誰でも良かったのだろう。
話を戻す。
先人が既に書いているのだが、スクールフォトの業界は需要と供給のバランスが合っていない。
それぞれの学校or幼稚園の行事日程が被っているのが多く、私レベルでも
運動会などのイベントは半年〜一年前に撮影予約が入るのだ。
A社でもかなり多くのカメラマンを抱えてるはずだが、それでもカメラマンが不足していて私みたいな底辺に頼らざるをえないのが現実である。
何故、カメラマンが不足しているのか。
やはり、労働と報酬の対価が合っていないということが大きいだろう。
朝から学校入りし、早ければ午前中、遅くて夕方に帰宅する。
ここまではいい。まだ普通。
ここからが大変で、枚数が多いので現像作業に時間を要する。
枚数が多くなる要因として、A社からより多くのカット数を求められるうえ、園児達をなるべく撮りこぼしのないように、まんべんなく撮影しなければいけない。
これには理由があり、私が撮った写真がインターネットで販売されるため、少しでも多くの写真が欲しいのだ。撮れば撮るほど金になるのだ。
なので現場では否が応でも撮りっぱなしになる。
私はシャッターチャンスを待って撮影するタイプなので、ひたすらシャッターを切らなければいけない環境に慣れることができなかった。
そのため、ベストショットって何ですかという状態に陥るのがよくある。
ちなみにギャランティは底辺なので日当15,000円。
ランクが高い人はもうちょっと貰ってるとは思うが、天井は見えている。
撮影だけを考えると悪くないのだが、現像作業の時間を含めて時給換算すると、とてもとても悲しくなるのだ。
A社では、他カメラマンが過去に撮影した写真を見ることができる。
一見すると「えらいアンダー露出だな〜」「すごい色かぶってるな〜」
という感じの写真が多くて、当時は「よくこんなの納品したな」と思った。
当時は。
今はその気持ちがわかるようになった。
一枚一枚ちゃんと現像するのが段々と馬鹿らしくなってくるのだ。
それでも私は数少ない良心があるので、黙々と現像作業をするが。
現場でしっかり露出合わせてないの?って話になると思う。
確かに屋外では晴れていなければ、一度露出を決めればそこそこ露出差も最低限に抑えて撮影できる。
が、こと体育館などの屋内撮影は、外光が入る場合が多い上に、端と真ん中では露出と色味が変化し、さらにあちこち移動して撮るのでとてもじゃないが撮って出しの撮影はできない。
この仕事がカメラマンとして最初の仕事だったから、それでも普通に撮影してたのだが、他の撮影を経験している内に段々と「あれ?対価合ってなくない?」という状態に陥ってきた。
次回へ続く
私の場合、一度幼稚園の同行
一ヶ月の予定を提出して、都合が合えば撮影依頼が来るという流れで、
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