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YMO「君に、胸キュン。」40周年

シングル「君に、胸キュン。」
83年3月25日リリース
作詞:松本隆
作曲:細野晴臣/坂本龍一/高橋幸宏
編曲:YMO
オリコン最高2位
カネボウ83年夏のキャンペーンソング
YMOの歌謡曲、歌謡曲のYMO

当時アルバム浮気なぼくらが5月に出るとわかっていて、多分それに収録されるだろう(アルバム収録の際に「浮気なヴァカンス」という副題がついた)、ということでしばらく買え控えていたが(シングルとアルバムの曲がダブるのを嫌っていた/出たら何でも買うコレクター気質ではない/なのでYMOのシングルをいまだに全部持ってなかったので、近年揃えた次第)、レコード屋でみたらジャケ見開きだし、ステッカーはついてるし、ということで発売から数週間後につい買ってしまったが、結果的にB面「Chaos Panic」はアルバム未収録曲になったので買って正解(いまだにサブスク未解禁)

アルバム浮気なぼくらの中では1番最後に作られた曲である。アルバムのレコーディングは前82年10月から始まっており、12月末までの2ヶ月余りで一応完成となったが、化粧品タイアップが決まったため、83年に入ってから追加で制作された、『浮気なぼくら』はプロジェクトとして大ヒット必須だったため、当初から決まっていたNHKで流れる世界コミュケーション年の曲「以心電信」だけでは物足りないと思われたのか、81年春咲小紅82年いけないルージュマジックに続く化粧品CMソングでシングルヒットを狙うべく、タイアップ獲得にスタッフは奔走した、結果的に「君に、胸キュン。」はYMOのシングルで1番売れた曲となり、アルバム『浮気なぼくら』もオリコン初登場1位という狙い通りの絵に描いたような展開となった、当時中学生としてそれを当たり前のことのように思っていたが、実際問題ハズレる可能性も大いにあったわけで、はっちゃけたPVも作って、ヒットしなかったら確実に黒歴史になっていたことだろう、ちなみに「以心電信」は大ヒットにはならなかった(オリコン最高23位)

当時こういう曲をYMOがやりだしたことについてファンの間で賛否両論あったが、YMO側からもこれはあくまでシャレ、アイドルごっこ、歌謡曲やっちゃって1位をとっちゃう遊び(結果オリコン最高2位、その時の1位は細野作曲「天国のキッス/松田聖子」が定説になっているが、実際は「矢切の渡し/細川たかし」)という説明が事前になされており、あとはこのチャラさをどう受け取るかであった、思えば初期と中期も違うわけであり、この時点ではまだ解散するとは思いもよらなかったが、こうやってYMOはどんどん変わっていくのだな、と納得するしかなかったのが実際のところ、しかしファンではない一般層にはそんな葛藤は関係なく、テレビに出演したりなんだりの露出で再びYMOが注目されだしたのも事実、今まで関心のなかったクラスメイトが急にカセットにダビングしてくれと頼んでくるような流れ、この感じは現在まで続いており、今までYMOに興味なかった or なさそうなJ-POPアーティストが急に「胸キュン」をカヴァーし出す、みたいなことと似ているかと、この曲はそういった意味では釣りネタです

ところで「君に、胸キュン。」というタイトルはCMのコピーライターが考えた言葉であって、YMOの3人でも作詞の松本隆の案でもない、このコピーライターが誰なのか長年謎だったのだが、 佐々木克彦という人であることがわかった、前年のCM「赤道小町ドキッ」のコピーも手掛けたとのこと、そもそも最初に「胸キュン」というワードをプロモーションで使ったのがその山下久美子だったことから、「君に、胸キュン。」キャンペーンの際にカネボウ側から山下側に「胸キュン」というキャッチをうちにくださいというようなやり取りが事前にあったようである

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