名前について

もし子供が出来たら、どのような名前をつけようか。
個人的にはあまり漢字の意味にとらわれたくない。
みんなそんなこと気にしてないし、意味なんてつけたら子供にとって最初の呪いになってしまいそうだ。

実のところみんなが気にしているのは、漢字の雰囲気と音の響きなんじゃないか。
だって名前の意味を考えることよりも、自分の名前を書いたり、呼ばれたりすることの方が多い。

私には「柊」と書いて「シュウ」と呼ぶ名前の友人がいる。正確には「◯柊」なのだがネットに他人の本名を開陳するのは憚られる。

中学の時だったか、先生が彼の名前を褒めていて、確かに、と思った。
「柊」という漢字がいい。そのままではあるが冬を連想する。あまり人につけられる漢字じゃないのもオリジナリティを感じる。
あと名前にヤ行があるのが羨ましい。
ヤ行は呼びやすいし、シュッとしている。そういえば「シュッとしている」にもヤ行がある。

私には「貴」という漢字がついている。これがあんまり得意ではない。
「タカ」というだけで喉が詰まりそうだし、漢字に「払い」がないのでシュッとしない。
上の部分の中線なんてどこまで伸ばせばちょうどいいのか分からなくて苦節二十余年である。
しかもこれが、祖父が自分でつけると強情に主張した結果らしいのだが、私達孫の世代全員についている。
だからみんな自然と「貴◯」の「◯」の部分で呼ばれていて、「せっかくつけた『貴』が約分されてるな」と壁のハエに数学を見出した気分になる。

また別の友人に「シャンさん」と呼ばれている人がいる。「喜屋武(キャン)」が色々あって「シャン」になって、都会風に「さん」をつけたものだ(田舎ではしばしば都会の人にそういう余所余所しさがあるという偏見がある)。
これも多分カ行がいいづらかったから訛っていったんだろう。
というわけで私の中でカ行とタ行は省くことが決定した。

知り合いには「ニチカ」という名前もある。
これにはカ行もタ行も入っているわけだが、面白いと思った。
普通につけるなら「イチカ」になりそうなものだけど、一個だけズラして「ニチカ」というわけだ。
こういう「ズラし」、言葉遊び的なエッセンスはぜひ取り入れたい。
ちなみにその人は周りから「ニッちゃん」と呼ばれていて、やはりカ行タ行は自然と呼ばれなくなるようだ。

だんだんと範囲が狭まってきた。
カ行タ行は避ける。ヤ行は積極的に使う。言葉遊びをいれる。シュッとした漢字をいれる。
それを踏まえた上で一つ、「ユラ」「ユウラ」なんて面白いのではないか。
「ユラユラ」という言葉に似ていて楽しい。
漢字にするなら「攸来」とか。
小学校の課題で「ご両親から名前の意味を聞いてきなさい」なんて課題があっても(実際小1のときそういう課題が出た)、「『攸』には『やすらぎ』という意味があってこの子の人生にやすらぎが来るように名付けました」とか呪力のないことが言えそうだ。
唯一の課題があるとすれば、口頭で漢字を説明をするのが面倒くさそうなぐらいだろうか。

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