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綿矢りさ:インストール読了。感想を書きます。ネタバレなし

綿矢りさ:インストール読了感想を書きます。

綿矢りさにハマって1週間。上質エンターテイメントの「オーラの発表会」から「かわいそうだ?」を読んだ後に「インストール」を読みました。

当たり前ですが、17歳の時に書いた「インストール」はまだ文章も完成されておらず、「オーラの発表会」のようなおもてなしを受けることはありませんでしたが、女子高校生の風俗体験記とでもいうような衝撃的な詳細とともに目新しかったのがPCによる性風俗に関する進化の途中を垣間見ることができることです。チャットレディなるものは風俗だと思ってはいなかったもののそれに対して有料でお金を払う人がいるということは産業が勃興している創出期だということを感じました。

今ではAIによる性風俗産業が勃興しそうな気配があるもののそれに対してお金を払って新たなオーシャンが生まれるのかというのは気配でしかありません。

PC、インターネットという新たな文化に風俗と女子高生を掛け合わせるとこんな小説になるのかな?という物語でしたが、くさびが聞いていたのは小学生の男の子の存在です。その男の子がいなければ小説にまでたどり着いていたかは少し疑問です。

しかしながら、綿矢りさの女子高生の子どもから大人になるまでの心模様を丁寧に伝わりやすいように過不足なく文章に落とし込んでいる腕前は見事といえるでしょう。このインストールに出てくる女子高生の心情は子どもから大人になるまでに誰もが経験している心の変化をとらえている感覚こそが綿矢りさが「天才」と呼ばれる神髄なのだと思います。

17歳の時に書いた小説と文章が洗練されて、肉体的にも精神的にも充実している40歳の2024年現在では出版する内容が違って当たり前です。明らかに20年以上も文字、文章、小説、創作に向き合ってきたということが直近の作品である「オーラの発表会」には出ている。

「インストール」は原石のような磨かれていない小説だが、その中にきらりと光る物足りの構成や心理描写、綿矢りさのパーソナリティがはっきりと描かれている作品といえるでしょう。

40代になった綿矢りさの小説をもっと読みたい!洗練されて読者をおもてなしするような上質の文章をもっと読みたい。そう思えるような「インストール」という小説でした。綿矢りさの成長曲線を追う作業はまだ始まったばかりです。

久しぶりに小説を読んで面白くてハマってと思ったけれど綿矢りさのルックスが美人だということも綿矢りさを追っているひとつの要因なのだろうと亜美ちゃんは美人という作品を読んで思いました。

ではでは~。

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