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スタートアップの聖地、ベルリン行こうと思った話(1/2)

初めまして。Rioです。
初投稿、雑文失礼お手柔らかに。

ベルリンは今やスタートアップの聖地であるとチラホラ言われる昨今、ちょうど、ベルリン在住の美学者でありメディア論の師匠である武邑先生が書籍を出版されたこともあり、こちらを紹介しようと思います。武邑先生は、ゲームクリエイターの水口哲也さんやハイパーメディアクリエイターの高城剛さんの師匠として知られている方なのですが、本人は社会学者のマクルーハン哲学の研究者でもあり、黒魔術を研究していたり、伝説のクラブと言われた芝浦GOLDのプロデュースをしていたり、伊藤穰一さんと1990年代前半に日本で初めて商用インターネット接続サービスを開始したりと、一体何者なのかわかりません。現在は、日本を捨てて(いや、ほんと、本人が言っています)、ドイツのベルリンに移住をしています。そんな美学者からみた、ベルリンが書かれた本書。

ベルリン・都市・未来 単行本 – 2018/7/12
武邑 光裕 (著)

なぜ今、ベルリンがスタートアップの聖地なのか?

1、失われた28年の効果
1961年〜1989年の28年間、東西を分けた壁が、現在のベルリンを形作ったとされています。長い壁(時間)によって、カルチャー的にも世界から遅れをとったドイツ。都市の再開発を急いだのですが、ジェントリフィケーションに対する市民からの抵抗により、都市計画が思い通りには進まなかったことも起因となり、ベルリンは独特な進化を遂げたようです。

ジェントリフィケーションとは、収入や肩書きの高い人々が都市において比較的貧困層が多く住む停滞した地域に引っ越したり、投資をしたりすることですが、スタートアップの聖地のシリコンバレーは、今やグーグルやアップルをはじめとする大企業、収入の高いエリアとなってしまったために、家賃が高騰してしまい、そうそう普通には住めないエリアになった結果、若者文化の停滞に繋がるようです。一方、生活費が安く、アーティストビザやフリーランスビザが取りやすいベルリンは、そのような若いアーティストや、まだお金のないクリエイターなどの受け皿となったようですね(余談ですが、芸術系の大学に通う学生も、ちょっとした展示会で実績を作ればアーティストビザ取得が可能だそうです)。

2、「ギグ」な奴らと「コワーキングスペース」の存在
では、貧乏(失礼)なアーティストたちがシリコンバレーからベルリンに移ってきたのは偶然なのか?いや、すでに土壌があったようです。ベルリンの壁崩壊後にも様々な人材が流入した経緯があるようです。以下引用。


ベルリンに集合する多様で創造的な人材は、この都市の歩んだ宿命的な歴史と深い関係を持ちます。ベルリンの壁崩壊後、すぐにやってきたのはアーティストとハッカーでした。その後DJが来て、次にデジタル・ボヘミアン、マーベリック、コピーキャット、メーカー、ネオ・ヒッピーといった次代の起業家たちが続々と集結します。彼らこそ、いまのベルリンのスタートアップ・エコシステムを構成する主要な配役なのです。

1990年あたりから、アウトローでギグな彼ら(失礼)がベルリンに集合していたのですね。ベルリンにはデジタル経済の前身となる、既存産業やレガシーがなかった故に、いわゆる「イノベーションのジレンマ」がなく、新興産業の参入ハードルを下げたことも理由の一つのようです。企業に所属するのではなく、フリーランスとしてプロジェクトベースで活動する彼らの拠点が、コワーキングスペースの存在、そこに多種多様な人材が集めってきます。もちろんこの流れは、世界的に各地でおきておますが、特にベルリンにおけるコワーキングスペースは、「運営」うまいとのこと。

コワーキング(共創)の促進を支えるのが、ファシリテータであり、コミュニティ・マネジメントのための多彩なツールです。ベルリンのコワーキングスペースで最も頻繁に使われているコミュニティ・マネジメント統合アプリは、ベルリン発のスタートアップが開発したCobot、そしてNEXUDUS、Trelloなどに続き、コミュニティ・コミュニケーションにはSlackがほぼすべてのコワーキングスペースで活用されています。多彩なデジタルツールをいかに活用し、組み合わせ、個々の生産活動を多様に支援できるかが、ベルリンのコワーキングスペースの運営レシピなのです。

さらに近年の顕著な事例として挙げられているのは、伝統的な企業組織の従業員の多くがコワーキングスペースに通い始めていること。企業組織で働く彼らのスキルは、雇用者のニーズに大きく依存するので、変化が早い時代のニーズに適応することができなくなります。企業の従業員は、新たなスキルに適応する準備が遅れ、時代の先端を切り開く仕事から乖離してしまう可能性すらあると述べられています。

なので、伝統的な企業組織の人材と、ギグやフリーランス、専門的知識を持つ個人が、コワーキングスペースを介して新たなコミュニティを作り出して、それは案外win-winな関係性ということになるようです。

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