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差別と配慮の線引きとは? 東京芸術大学美術館「大吉原展」


東京芸術大学美術館の「大吉原展」に行ってきた。


「女性が体を売らされていた、人権侵害の場であったという観点が抜け落ちている」と言われて、開場前からネットで炎上していたこの展覧会。

遊郭というと、私のイメージは「親なるもの 断崖」なので、きっと吉原の女性の辛さ、悲しさが伝わる展示があるに違いない……と身構えていた。

「女性の人権侵害を認めるものではありません」と入ってすぐに掲示されていたし、辛い暮らしに耐えかねた女性の放火が何回もあった、などの解説はあったけれど、展覧会自体には、純粋にそこで育まれた美術作品を展示しているといった印象を受けた。

吉原が女性の犠牲の上に成り立っていたという視点が欠けていたから炎上につながったのだと思うけれど、逆に、吉原だから「辛い」「悲しい」一色の先入観を持って臨んでしまったのは良くなかったかもしれないと思った。

優れた芸術が生まれたのも事実で、浮世絵やジオラマで再現されている吉原の女性たちの様子はとても煌びやかで見応えのあるものばかりだった。

悲惨なイメージばかりを思って可哀想と思うのは、それはかえってそれは差別なのかもしれない。

どこからが差別で、どこからが配慮なのだろうか……と思った。

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