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あの頃の友達の面影

先日、卒業した高校から同窓会報が届いた。

ふと最後の方のページに「O先生へのお便りはこちら」とあるのを見つけたから、驚いた。
大変不謹慎かつ失礼な話なのだが、私はO先生はとっくに亡くなったと思っていたのだ!
O先生は名物教師的な外国人の先生で、私の在学中に高齢のため母国に帰っていた。
私は「ちょっとまじで失礼だから!」と言いながらのとんでない勘違いを笑ってくれるだろう、あの頃の友達のことを思い出していた。

私は中高一貫の女子校を卒業した。
いつも一緒にいるのは私含め4人ほどで、いちばん古い友達は中学1年からの付き合い。高校からは私だけクラスが別だったが、昼休みは必ず集まって一緒にお弁当をひろげた。卒業しても、彼女らとの交流は続くはず。きっとこれが一生物の友情なのだと思っていた。

だが、このメンバーは後に空中分解する。

ひとりは、男子の前で態度が変わる子だった。
在学中は女子しかいないので気が付かなかったのだが、進学後に男子の前で別の子をだしにつかったり、悪者にしたりして、ひとりモテようとしだしたことで喧嘩が勃発したのだ。

ひとりは、急に連絡がつかなくなった。
連絡しても返事をくれなくなったが、今でもLINEの友達リストにいてくれるから、どこかで元気にしていてくれるといいなと思う。

ひとりは、生き方に共感できなくなった。
結婚したいのに遊びの恋にのめり込んでいく彼女と話をするのが辛くなった。

そして私が鬱になった。
他人の近況を聴いていると、すべて自己否定に繋げてしまう。友達の幸せを聴くと喜ぶどころか、気分が悪くなり食事を吐くようになった。そしてあらゆる人とのSNSの繋がりや連絡先を片っ端から絶っていった。

だからあのころの友達はもうひとりもいない。
「ねぇみんな、O先生元気だって知ってた?」
あの頃の友達に言いたいけれど、今や伝える術がない。

自分から絶った友情を初めて懐かしく思った。
そして悲しい、寂しいと思った。

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