見出し画像

あなたに生かされた命

 前回の記事では5年ぶりの再使用、仲間の愛について書きました。

 仲間の献身的なサポートを受けながら僕はこの後、二回目の人生の底つきを経験することになります。今日はそのことについて書いていこうと思います。

 僕の危険ドラッグの使用はどんどん加速していきました。どんどん追い詰められて行っているのに止めることができなかったのです。そんな生活が続いたある日、強い危険ドラッグを量を間違えて大量に摂取してしまいました。オーバードーズです。座椅子に座って胡座を組んだまま意識を失って10時間以上そのままでした。意識が戻った時にはもう立てなくなっていました。幸い近くに携帯電話があったので救急車を呼びました。ICUでの入院生活が始まりました。横紋筋融解症でした。悪夢のような激痛と痺れが何ヶ月間も続きました。血液が固まりその血液が心臓に届き死んでしまう可能性もありました。その時、両足を切断するのも検討されました。

 ICUからリハビリができる病院に移り半年以上の過酷なリハビリ入院が始まりました。その過酷なリハビリは今までの人生の中で一番頑張ったかもしれません。献身的でプロフェッショナルなリハビリの先生が三人もついてくれてそれぞれのリハビリを担当してくださいました。その三人のリハビリの先生が美しい女性だったのも頑張れた要因かもしれません(笑)

 なんとかリハビリ入院が終了し両足にロボットみたいな装具を着け両手に松葉杖の状態で退院しました。もう絶対に薬はやりたくないと思っていました。でも退院したその直後にまた再使用してしまったのです。どうしようもないバカだと思われても仕方ありません。その時に付き合っていた女性に無理やり体に薬を入れられたのです。もちろん力は僕の方が強いので拒むことはできたのですが…

 そんなどうしようもない再使用の後、また使い方も量も加速していくことになります。普通では考えられないような奇行も増えていきました。そんな状態でまたどうにもならなくなり仲間に助けを求めました。

 びっくりするようなことが起こりました。なんとダルクの創設者の近藤恒夫さんがアパートまで助けに来てくれたのです。普通では絶対にあり得ないことでした。保護されて近藤さんのベンツに乗りました。車中ではもちろん薬が効いていたので失礼な発言を連発していました。近藤さんは偉い人としてではなく一人の仲間として僕を助けに来てくれたのです。ダルクに一泊させてもらい、病院に入院させてもらいました。僕の危険ドラッグの使用はそこで終わったのです。

 本当に酷いドラッグ禍でした。

 「何度同じことを繰り返すの?」
 「ダルクで一体何をやってきたの?」
 「人を巻き込んで迷惑ばかりかけて」

 そう思われても仕方ありません。その通りです。なんの言い訳もできません。でも僕にとっては全てが必然で必要なことでした。今、こうして生きていてあの頃のような普通ではあり得ないような奇行は減りました。ドラッグも止まっています。他人に迷惑をかけることも減りました。あの頃と比べて問題は小さくなったかもしれません。意志と命の方向を変えるのに両足を切断する思いをしなくても済んでいます。でも大きい小さいは関係なく昔も今もその瞬間に必要なことが起こっているのだと思います。今思うとあの大怪我は必要なことが起こったのだと思います。意志と命の方向があのままだったらもっと酷い事になっていたはずです。もっと誰かに迷惑をかけ大切な人たちを悲しませることになっていたはずですから。

 あのドラッグ禍の日々を振り返ってみると不思議なことがたくさん起こりました。仲間たちがしてくれた魔法のようなサポート、その後の経過。周りの人たちから見捨てられても当然のことをやっているのに僕は今も大切な人たちに囲まれて生かされています。

 決して自分が人生の鍵を握っているわけではないのだと思います。見えない大きな力によって動かされているのだと思います。自分の力の及ばないところで不思議な力が働いている。こそこそ企んだところで大きな力の計画の元ではただの悪あがきにすぎません。ここまでその不思議な力に導かれてきたのだとしたら。だからこそ自分の力が及ぶところではベストを尽くし自分の行動に責任を持って生きていきたいです。

 これからも必死に生きていきたい。
 その不思議な力が決めた困難な道でさえも。

 あなたに生かされた命。
 たったひとつの命。

 読んでいただきありがとうございました。

絵も描いているよ♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?