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鹿児島の野ぼとけ8


鼻は削がれているが、非常に状態の良い石仏である。
光背に光背を彫る贅沢な造りで、この地域で一番の名仏だと思う。

「法橋 秀範」
「天文十一年(1542)」
とあり、ずいぶんと古い石仏があったものだなと感心する。
しかしどうも怪しい。
1500年代の石仏などほとんど見たことがないし、造りも江戸っぽい。

何気なく背中を見る。

そこには「享保十年(1725)」の銘が。
やはり江戸時代のものだったのだ。
やっぱりそうかと自分を褒めた。

ただそこで一つの疑問が生まれる。
なぜ200年も前の法橋の墓塔か供養塔となる石仏を建立したのか。
ひょっとすると文書を探せばわかるかもしれない。
しかし今のところ何も分かっておらず、要研究である。

傷ついてもなおキリっとした表情が素晴らしい。
そしてこの溢れ出る神仏習合感がたまらない。

まさに名品である。

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