私の歴史~~武術に憑りつかれた男28
営業の出張から帰ってくると常務に成果を報告する。
そのときにA社ではこんなものが売れていた。
B社では、こういう色がトレンドだと言っていた。
店頭で、こんな商品があったのでサンプルで買ってきた。
これをつくれば売れると思いますと・・・。
常務は私の話を熱心に聞いてくれた。
ことあるごとに「よし、やってみろ」とGOサインを出してくれた。
しかし、デザイナーとメーカーさんに話をもっていくと嫌な顔をされた。
「こんなもの売れるの?信じられない。」
「おい、もっと簡単に作れて、工賃の高い注文を持ってこい。」
「こんなめんどくさいことしてられるか!」
しまいには、私が何か頼もうとすると最初から「無理!」と言われた。
同業他社では、同じものを作ってヒット商品を連発しているのに、なんでもっと工夫したり考えたりしないんだろう?とくやしい思いばかりしていた。
売れているものなら、どうやって作れるかをもっと真剣に考えれば、バブル崩壊で高いものは売れなくなり、のきなみメーカーさんは潰れていったが、そんな惨状は免れたのではないだろうか。
いや、メーカーさんばかりの責任ではない。
いくら断られても、いくらけなされても、粘り強く説得してヒット商品を作ればよかった。
私の責任は大きい。
私は性格上、けんもほろろに断られたり、馬鹿にされたりすると、怒りがこみあげてきて、相手を軽蔑してしまう。
こういう幼稚な性格だった。
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