現代の秀吉はロンブー淳さんではないのか？

豊臣秀吉が人たらしと呼ばれていたのは有名ですよね。本来だったら人をだますという意味で使われる言葉ですが、現在では良い意味で使われる方が多いですよね。

トップに立つものは人たらしの能力が必須です。この能力で秀吉は天下を取りました。

その秀吉の生まれ変わりが現代に存在するのです。それはお笑い芸人・ロンドンブーツ１号２号の田村淳さんです。

まず淳さんと秀吉って顔が似てますよね。秀吉はどんな顔だったかは定かではないですが、秀吉役を淳さんがやったらぴったりきます。

ただ顔よりも、秀吉の人たらし部分が淳さんとそっくりなんですよね。

僕は一度だけ淳さんと仕事をしたことがあるんですよ。

放送作家になりたての頃にロンブーさんの特番に参加したことがあるんです。

ロンブーさんって今でも人気がありますが、その当時の人気はすさまじいものがありました。ほんとアイドルかと思うぐらいのカリスマ的な人気を誇ってたんですよ。

その番組のロケをしていても見物客がとてつもなかったです。今までロケに同行したことは何度かありますが、ロンブーさんが一番お客さんを集めていたんじゃないでしょうか。

なんとか番組のロケを終え、収録後にロンブーさんお二人とスタッフをまじえて打ち上げをすることになりました。

淳さんと亮さんのお二人は、プロデューサーやチーフ構成の放送作家などのお偉いさんたちのテーブルで座り、僕みたいな新米放送作家やADは隅っこでおとなしくしてました。

いわゆる下っ端組ですね。同席はできなくてもスターがいる場所にいるだけでも十分満足でした。ま放送作家になったばかりの頃でまだ芸能人に慣れていかなかったので、ロンブーさんと一緒に酒席を共にできるだけで嬉しかったんです。

自分のビールがなくなったので、手酌でコップにビールを注ごうとしました。すると誰かがビール瓶を持ち上げ、僕のコップに注いでくれました。

顔を上げて礼を言おうとした瞬間、目が点になりました。

なんとビールを注いでくれた相手は、淳さんだったんです。

スターにビールを注いでもらうなんてとんでもないと僕はあわてふためきました。

「すっ、すみません。ありがとうございます」

すると淳さんは白い歯を見せ、満面の笑みでこうおっしゃられたんです。

「いいよいいよ。今日頑張ってくれたからね。でも俺がビールを注いでくれたって、友達と知り合い全員に言ってね」

それを聞いていた周りのスタッフが笑い声をあげました。

僕の緊張をほぐした上に、この場を盛り上げるための冗談です。この一瞬で、そんな二つの要素をまじえたユーモアが口にできる。これがMCができる芸人さんかと感心しました。

その瞬間、淳さんの背後に金屏風が見えましたね。現代の秀吉の誕生です。

その後もよく観察してると、 淳さんは若いスタッフたちにビールを注いで回ってくれていたんです。

以降何度も番組のメインを張るタレントさんと打ち上げをしていますが、そんなことをしてくれたのは淳さんだけです。

スター淳が下っ端に気を使ってくれているーーその感激ってわかるでしょ。

下のスタッフといっても、僕を含めたみんなはゆくゆくはディレクターや責任ある立場になり、番組作りに中心を担うようになります。

淳さんはそれをよくわかっておられるので、僕たちに気を使ってくれたんでしょう。

浮き沈みの激しい芸能界で、淳さんが第一線でやっている理由がよくわかりました。

当時淳さんにビールを注いでもらったスタッフは、みんな淳さんと仕事をしたいと思ってるんじゃないですかね。

もう僕は放送作家はやめてしまいましたが、淳さんと一緒に何か仕事をしたいって今でも思っていますからね。

「このことをみんなに話してね」

その淳さんの言葉を守るためにここに書かせてもらいました。