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企業におけるビジョンとは?目的や作り方、現場での活かし方を解説

ビジョンとは、企業が目指す理想の未来を描いた道標です。単なる目標ややりたいことではなく、社員一人ひとりが共感し、心からワクワクできる目的地を示します。
ビジョンが明確であれば、組織全体が一つの方向に進み、日々の仕事が意味を持ち、社員のモチベーションが高まります。

本記事では、ビジョンの意味と役割、そしてその効果的な作り方について詳しく解説します。さらに、ビジョンを現場で活かすためのポイントや、ビジョンに関するよくある誤解についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。


ビジョンとは?

企業における「ビジョン」とは、将来、自社が創りたい世界を表したものです。単に「やりたいこと」や「目標」ではなく、具体的なイメージを持って描かれた皆で目指すべき目的地です。
例えば、富士山に登る人がいるとします。彼らは、ただ山頂に到達したいわけではなく、山頂から見える雄大な景色を楽しみたいと考えているはずです。この「山頂から見える景色」こそが、ビジョンといえるでしょう。

ビジョンには2つの種類がある

ビジョンには、大きく分けて2つの種類があります。

  1. ビジョン:

    • 自分たちが創りたい未来の姿です。

    • 顧客や社会、世界がどうなってほしいのか、という理想を描きます。

    • 例えば、「誰もが健康で幸せに暮らせる社会を創りたい」といったビジョンが考えられます。

  2. 組織ビジョン:

    • ビジョンを実現するために、組織がどうありたいかを示します。

    • 組織が社会に対してどのような役割を果たしたいかを明確にします。

    • 例えば、「革新的な技術で社会課題を解決するリーディングカンパニーになる」といったビジョンが考えられます。

    • なお、組織ビジョンをミッションと置き換えて捉えられることもあります。

ビジョンを設定する目的は2つ

ビジョンは、企業全体が同じ方向を目指し、個々の仕事に意味を持たせるために設定されます。この章では、ビジョンが持つ2つの重要な目的について説明します。

1.全員が同じ方向を目指すための指針となる 

「ビジョン」は、会社全体が目指す未来の姿を明確に示すものです。これがあれば、各部署や個人がバラバラの方向に進むことなく、全員が一つの方向に向かって協力できます。
灯台の光が進むべき方向を示すように、ビジョンは社員全員が目指す「共通の目的地」となり、組織全体の力を一つにまとめます。

2.毎日の仕事に意味とやりがいをもたらす 

日々の仕事は、ビジョンに近づくための積み重ねの活動です。ビジョンがあることで、社員は自分の仕事が、会社が目指す目的地に向かう上で、どのように貢献しているかを理解できます。
例えば、「自分の作った製品が多くの人々の生活を豊かにしている」というように、自分の仕事が社会に与える影響を具体的にイメージ可能です。これにより、社員はより大きな目的を持って仕事に取り組み、高いモチベーションを保てるでしょう。

ビジョンの作り方3ステップ

ビジョンを効果的に作るためには、企業の強みと社会のニーズを結びつけることが鍵です。以下では、ビジョンを策定するための具体的なステップを紹介します。

1. 私たちは何ができる?

まずは、私たちが得意なこと、経験、スキルを明確にします。「どんなことに自信がある?」「どんな強みがある?」そんなシンプルな問いから始めてみましょう。過去を振り返り、成功体験や成し遂げてきた成果を整理すると、自分たちの強みが見えてきます。

2. 世の中は何を求めている?

次に、世の中の人々がどんなことを求めているのか、どんな問題を抱えているのかを考えましょう。インターネットや新聞記事、SNS、周囲の声に耳を傾けてみましょう。また、将来、どんなものが求められるようになるのか、未来を想像することも重要です。

3. 私たちと世の中を繋ぐ

私たちの強みと、世の中のニーズを組み合わせることで、新しい価値を生み出せます。。例えば、自分たちの強みが「AI技術」であり、世の中のニーズが「効率的な業務」であるとします。これらを組み合わせることで、「AIを活用した業務自動化ツール」を作り、「多くの人の働き方を革新させ、やりたいことにもっと時間を割ける世の中を創る」といったようなビジョンを立てることができるのです。

ビジョンを現場で活かす具体的な例

ビジョンを現場で活かすためには、メンバーが自分の仕事の意味を理解することが必要です。以下では、ビジョンがどのように現場のモチベーション向上に貢献するかを具体例を交えて説明します。

4人のレンガ職人の話

人は「意味がないこと」や「目的がはっきりしないこと」にやる気を持つのは難しいものです。メンバーや部下が仕事の意味を見失い、モチベーションが下がったときは、より大きな目的で再認識させることが大切です。
次に紹介する例は、多くの人が知っている「4人のレンガ職人」の話です。この話を通じて、職場の部下に仕事の意義や意味をどのように捉えてもらうべきかを考えてみましょう。

ある日、旅人が村を歩いていると、石を積んでいる職人Aに出会い、「何をしているのですか?」と尋ねました。Aは「石を積んでいる」と答えました。
さらに進むと、同じように石を積んでいる職人Bに会い、同じ質問をしました。Bは「壁を造っている」と答えました。
さらに歩くと、また別の職人Cに出会い、同じ質問をしました。Cは「教会を造っている」と答えました。
最後に、4人目の職人Dに出会い、同じ質問をしたところ、Dは「私は人々の心を癒す空間を作っている」と答えました。

A、B、C、Dは同じ石を積む仕事をしているのに、彼らの答えは異なっています。さて、どの職人が最も高いモチベーションで仕事に取り組んでいると思いますか?

答えはCとDです。なぜなら、CとDは自分の仕事に価値を感じ、その意義を理解しているからです。反対に、Aはただの作業と捉え、目的を理解していないため、やがてやる気を失っていくでしょう。Bも「壁を造る」という短期的な目的はもっていますが、長期的にモチベーションを維持する上では十分とはいえません。

このように、仕事をより大きな目的や意味で捉え直すことで、メンバーのモチベーションを高めることができます。リーダーの重要な役割は、メンバーにその仕事の意味を気づかせることです。

どの職場にも地味な仕事はありますが、その仕事の目的や意味をメンバーに考えさせるようにリーダーが促すことが大切です。リーダーがメンバーに仕事の意味を教えるのではなく、メンバー自身がその意味に気づくことが重要です。

もし、こうしたコミュニケーションを怠れば、メンバーのモチベーションは低下し、最終的には組織全体の活力が失われてしまいます。現代の組織では、仕事が細分化され、目的や意味が見えにくくなっています。そのため、リーダーはメンバーが仕事の意味に気づく機会を積極的に作ることを求められるのです。そのためのコミュニケーションを忘れずに行いましょう。

ビジョンについての誤解「高い目標=ビジョンではない」

「ビジョン」という言葉にはよく誤解があります。例えば、「売上規模〇兆円」などの数値目標を掲げても、それは本当の意味でのビジョンとはいえません。なぜなら、単なる数字だけでは、その会社がなぜ成功しているのか、そして何を目指しているのかを十分に伝えられないためです。

ビジョンとは、売上目標の先にある「実現したい未来」のことです。それが社員一人ひとりにとって明確であり、心から共感できるものであれば、その会社は「ビジョンを持っている」といえるでしょう。

あなたは、自分の会社が掲げるビジョンに心からワクワクしていますか?
もしそうでなければ、そのビジョンには何か問題があるのかもしれません。

まとめ

ビジョンは、企業にとって単なる目標設定や指針以上のものであり、全員が共通の目的地に向かって進むための指針です。この記事を通じて、ビジョンの重要性とその作り方、現場での活かし方について理解を深めることができたでしょうか。

もし、まだ自社のビジョンが曖昧だと感じる場合は、今こそ見直しのタイミングかもしれません。社員一人ひとりが心から共感できるビジョンを持つことが、会社全体の成長と成功に繋がります。あなたの会社のビジョンが、未来を切り拓く力強い原動力となることを願っています。そのためにも、ぜひ本記事の内容を、あなたの企業でも実践してみてください。


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