琳琅 第三号より、「棚の間」武村賢親
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クリニックを出て西口公園の方へと歩みを進めながら、私は榎田さんの言うところの心的ダメージについて考えてみた。たまにPTSDという単語をテレビのワイドショーなどで目にしたりするが、要はそういうことなのだろう。路子の場合、まず母親の件があり、更生施設でのショック体験があり、今回の再発がある。かつての状態に戻れば、待っているのは路子が絶望した施設へ戻る道だ。きっと彼女は嫌がるだろうから、なるべくそうならないように努力はするだろう。そのために私ができることはなんでもする心づも