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世間の風

精神科の薬というのは、強力だ。
とにかく眠らせて、事なきを得よう、とする薬が
多すぎる。

内科の医師の言葉を、聞いたことがある。
「うちで出す薬の効き目を1〜2とするなら、
精神科では10〜20の薬を、平気で出す。
うちでは出せないよ、怖すぎて」

ゆえに、その副作用も強烈だ。
常時よだれが止まらなくなったり、
眼球上転が起こったり、
呂律が回らなくなったりすることは、
決して、稀ではない。
むしろ、そういった副作用が起きないほうが、
めずらしい。

それでも、その薬を飲み続けねばならない
精神科の患者の気持ちを、
「わかる」まではいかなくとも、
想像してみてほしい。

世界は、広い。
ぎりぎりのところで、
この世界に踏みとどまっているひとたちが
いることを、忘れてはなるまい。

…そして、わが家も、そんな精神科ユーザーにより
構成される、家族なのだ。

世間に吹く風は、冷たい。

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