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【ショートエッセイ】ひたむきに生きていれば老後も心配なし
老後のことを想像してみる。
郊外に移り住んでのんびりしたい。
毎日綺麗な景色を見ながら、本を読んだり、映画を見たり、散歩をしたり・・・。
しかしお金は必要だ。
仕事は退職しているから生活費の供給源がない。
どこかに再就職できないかな。
高齢者を雇ってくれる企業はそうそうない。
それに会社勤めはもう懲り懲りだ。
できればもう人と関わりたくない。
お金がなければ、のんびりするどころか食べていけない。
さあ、どうする?
何とかなるだろう。
今まで家族が路頭に迷うような危機的状況を、何度も乗り切ってきた。
その頃は若かったから体力に任せて何とかなったんじゃないか、って思われるかもしれない。
しかし当の本人に"もう老けた"、"若い頃みたいには動けない"、という自覚がない。
"もうダメか"と思ったことは何度もあった。
言われのない借金を背負わされた。
会社が傾いて給料を削減された。
単身赴任で家族がばらばらになった。
再就職して人間関係に悩んでうつ病になった。
・・・・・・・・・・・・
人並みの苦労だが、数え上げたらきりがない。
一人じゃ耐えきれなかった。
苦しい時は家族が支えてくれた。
ただ歯を食いしばって頑張ったと言う実感はない。
何十年も毎日を全力で過ごしていたら、いつのまにか切り抜けていたと言った方が正解に近い。
だから歳を取ってもひたむきにさえ生きていればどうにかなる。
なんだか変な自信がある。
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