【ショートエッセイ】音に囲まれて暮らすなら
小鳥のさえずりと小川のせせらぎ。
どちらも心地いい音だ。
郊外に住んでいるので、小鳥のさえずりは四六時中聞こえる。
現場仕事で山の中の宿舎に住んでいたことがあった。そのすぐ側に小川があった。
どちらもずっと鳴り続けているけど、不快に思うことはない。
むしろ心地良さを感じる。
それに比べて・・・。
自動車のエンジン音、飛行機のジェット音、工場のサイレン、道路工事の掘削音、どれもこれも耳障りだ。
どれも同じ音だけど、感じ方が全く異なる。
もしも小鳥の口から発せられる鳴き声が車のエンジン音だったら、どんな風に感じるだろうか。
想像が難しいシチュエーションだが、ぼくは不快に感じると思う。
小鳥が可愛く思えなくなる。
小川のせせらぎがサイレン音だったら、もう小川を埋めてしまいたくなる。
小鳥は可愛い、小川は澄んだ水が流れる、このイメージに似合う音質と音量は必ずあるはずだ。
清楚なものから発せられる清らかな音、この条件が揃わなければ、人は心地良さを感じられないのだろう。
都会に住むと、あまり心地よくない音に囲まれて過ごすことになる。
慣れてしまえばなんてことないのだろうが、やはり何か落ち着かない。
ぼくは郊外に住んでいるから、雑音より小鳥のさえずりに囲まれている。
やはり落ち着く。
人が街を作って、便利さを分かち合って生きている以上、音から逃れることは難しい。
どうせ囲まれるなら心地良い音がいいが、ぼくらは音を選ぶ訳にはいかない。
ただ夜のしんとした静けさもまた良い。
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。