恋とコレクションは似ているかも?
トレーニングを続けて15年近くになる。
最初はTシャツに短パン一枚ずつ。
ジムに行くたびに毎回同じ格好。
外見なんて全く気にならなかった。
それが15年も経てしまうと、クローゼットがトレーニングウェアであふれかえっている。
最初にふくらはぎを肉離れしたのがきっかけだった。
トレーナーから、加圧できるタイツを履いた方がいいいとアドバイスをもらった。
タイツと言ってもかなりトレーニング用となると高価。
ぼくは一番安いものを買って、それを履き続けた。
長く履き続けているとどうしても伸びてくる。
それで何回か買い替えた。
これがよくなかった。
ぼくは高価なウェアを買い替えることに、抵抗感が麻痺し始めた。
少し筋肉が付いてくると、自分の身体に自信ができた。
それでタンクトップを買った。
黒色ばかりのウェアだったから、色の違うショートパンツを買った。
そしたらそれに色が合うシャツが欲しくなった。
さらにトレーニング用のグローブ、タオル、シューズ・・・。
1日のトレーニングの時間が長引けば長引くほど着替えるウェアが必要になった。
そしてぼくは悪循環スパイラルに陥っていった。
一体何着買ってしまっただろうか。
もうわからない。
気が付けばこんなことになっていた。
コレクターの気持ちがよかわかる。
一つ欲しくなれば、違うタイプのものが無性に欲しくなる。
特に欲しくないものにお金を使うことはあまりにもったいないと思う。
しかしこの欲求はそんな感情を簡単に凌駕してしまう。
周りの人から見れば精神がおかしいんじゃないかと思うかもしれないが、悲しいかなその通りだ。
人は何かに夢中になると盲目になる。
何もかもが見えなくなる。
この感情は恋に似ているのかな?
恋する対象がスポーツウェアか異性か?
ぼくにとっては同じくらい価値があるって、誰でもいいからわかってもらえたら嬉しい。
小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。