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【ショートエッセイ】すでに自分らしく生きている

"自分らしく生きればいい"って言葉をよく耳にする。
"自分らしく"って何だろう。

会社の上司に作り笑顔をしているのも自分、夫婦喧嘩して拗ねているのも自分、老後の生活を悲観して怯えているのも自分、電車で足を踏まれて知らない人と喧嘩しているのも自分・・・。

いろいろな場面でいろいろな自分の顔を使い分けている。
一体、どれが自分なんだろうか。
全て自分であり、自分ではない。

例えば人に気遣いをしたくない人が、自分のことだけを考えて気ままに生きていく、なんてことは社会に属している限り許されない。

そう、社会にいる限り何らかの制約を受け、少なからず自分を押し殺して生きている。
そんな社会の中で、どうやって"自分らしく生きろ"って言うのだろうか。

そもそも自分と言うものがわかっていない。
どういう存在で、どんな使命を帯び、何を成すべきかなのか、わかっている人は少ないと思う。

有名人が自分を探す旅に出る、というような話を聞いたことあるが、それは有り余るお金があって、日々仕事に追い回されている一般市民にはとても難しいことだ。

しかしその反面、そんなに難しいことなのか、とも思う。
冒頭で人は社会の中でいくつかの顔を使い分けて生きていると言ったが、これもその人らしいと言えば充分当てはまるのではないだろうか。

社会に適合し、自分なりのスタイルを作り出したんだ。
自分のスタイルだと言って、わがままを押し通す人より余程良い。

"自分らしい"それは自分の思いのまま生きること。
今あなたが生きている人生はあなたが選択した道を歩んでいる。
何度も道に迷い、時には行き止まりで引き返したこともあったろう。
それはもうあなただけの道を開拓したんだ。

それだけで十分あなたらしい。


小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。