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パレスチナ・ガザの子どもたちの希望と、今起こっている戦争

偶然か否か、昨日はパレスチナのイベント2つに参加していた。名物クナーファというチーズのお菓子を食べ現地のことを聞く会。そして来日中のガザの中学生たちが明日帰国だというので、最後のシンポジウムとお別れの会に。

そんな中、ガザへの空爆が始まり、現地はこれまでにない戦争状態に入ってしまった。

来日し、広島に行き、平和資料館で涙を流した彼女らは、故郷での激しい突然の戦火の事態を東京への新幹線で聞いたそう。どんな思いで、最終日のシンポジウムで語ったのか。

無理して話さなくてよいというやりとりもあったそうだが、スピーチは力強く、人間的で、希望を失わず、日本人を逆に勇気づけるようなものだった。

その小さな胸の中に、どれほどのものを抱えて前向きに話したのか。講演のあと、彼女らの瞳は悲しみと不安と疲れが見てとれた。

あえてその言葉を伝えたい。なぜ彼女らが夢や目標を大事にするのか。

「ガザ地区で誰かが夢を持つということは希望なんです」

その意味は。あなたのメッセージを伝えるねと、先ほどハグして別れたから。久々の投稿になるが、彼女らの言葉を記します。出会ってしまったから。聞いてしまったから。

お菓子の写真はこの場にはふさわしくないかもしれない。でも彼らの豊かな文化の一つでもあり、本来は幸せの象徴。いつ何が起こるかわからないパレスチナの現実そのものでもある。

NGOパルシックさんのイベントで提供されたクナーファ。日本の若い職人作

状況を簡単に書くと、ハマスがロケット砲を打ち込み、入植者を拘束。これまでにない死者が出ている。どの市民もどの人も守られるべきだというのは言うまでもないが、しかし、その前に今年に入ってのイスラエル軍の激しい作戦で、パレスチナ人の犠牲者数は去年の数を越えていた。そもそも占領地への入植は国際法違反。そして長年の封鎖で、逃げられない中、パレスチナに対し何度もの空爆や侵攻が行われ、日々尊厳は踏みにじられてきた。

大抵の大きな暴力の前には、暴力がすでにあるという表現を思い出す。

「僕たちは14歳だけど、これまでに5回の戦争を経験しています。今回は6回目・・」

こう語った少年は、過去の戦争で、「自分の家、そしてそこにある思い出を失った」と話した。今の状況に関連したことはほぼこれだけだったかと思う。

それ以外は日本への感謝と未来に向かおうとするメッセージだった。

子どもたちの言葉

(※質問含め、意訳の部分もあります)

ー広島でどんなことを思ったのか。
「自分たちと同じように苦しんでいた広島が、いま平和の街になっているのを見た。驚いたとともに、希望と志を感じた」

ーどうやって心が折れそうな時を乗り越えているのか
「いつか必ず目標を達成できる。あなたには夢があり、実現できる、そう両親や大人たちは言い続けてくれた。そのことが、起こっていることから別のものに目を向けさせてくれる」

「小さなことに幸せを見つけだすようにしている」

「身近な誰かに才能があることを見つけると、自分の地域の未来だと感じる」

ーどうやって希望を見つけるのか。
「誰かの夢を知ると、希望だと感じる。
 誰かが気にしてくれると、希望を感じる。 
 誰かがパレスチナのために行動してくれると、希望を感じる」

ー世界のリーダーに言いたいことは。
「どんな文化、宗教、信条の人でも暴力にさらされるべきではない。パレスチナだけでなく、すべての人に平和を。それが願うこと」

ー会場の中学生から、日本の若者の自己肯定感は低い。どうしてそんなに情熱を語れるのかというような質問へ。
「あなたは家族にとっての夢でもある。あなたは成功に値する。あなたの家族もあなたの成功に値する。自分を誇りに思って。人が嫌なことを言った場合、そんなことは聞かないで」

ー願うこと
「私たちは、他の国で"普通"のことを望む」
「平和は、夢を叶える時に必要なもの」
「安全は夢ごとではない。人権なんです」

日本に来る時も、距離でいうとわずかなところをいくつもの検問所を通って3日かかって来日した彼女ら。明日、帰国の途につく彼女ら。国境が開かないかもしれない。

どうか彼女らの希望が守られますように。

こう伝えてハグをするしかできなかった。

「日本では、良い言葉を使うと現実になるという考え方もある。あなたたちは、今日こんな状況の中ですてきな言葉をたくさん語った。だから、きっとそうなる、そう祈っている」

どうして、良き人たちがこれほどまでに苦しまなくてはいけない世界なのだろうか。

世界の現実を見ることは時に胸の痛いことで、でもだからと言ってそれを見ず、自分だけが穏やかでいられたらいいとも思わない。(もちろん自分の心を守ることは大切だけれど)

出会ってしまったから、彼女たちの言葉を聞いたから。彼女たちと心からの笑顔で、おいしいお菓子を食べる日を描く。

ガザの14歳たち

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