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私の好きな「中島みゆき」の曲

私の好きなミュージシャンのうちのひとり。
中島みゆき。

中島みゆきは、中学生の頃から好きだ。
そのころ、「家なき子」というドラマが流行ってい
て、そのドラマでかかっていた「空と君のあいだに」を知って、中島みゆきが好きになった。

だから、中島みゆきが好きとはいっても、彼女の曲の膨大な歴史を考えると、比較的、新しい曲から入ったほう。

中島みゆきには、たくさんの有名な曲があり、あまたカバーされた「糸」や、TOKIOのカバーで有名な「宙船」、「時代」、「地上の星」、カップリング曲なのに有名になった「ファイト!」などは、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。

これら有名どころでは、私は「ファイト!」が一番好きだ。

この曲には、好きな歌詞が二箇所ある。
ひとつめは

「闘う君の唄を、闘わない奴等が笑うだろう」

というところ。
人にバカにされたり、笑われたりする時、この歌詞はとてもささる。

そしてもう一つは、

「私の敵は私です」

というところ。

この曲は、ひどいことをしている人の現場(←けっこう犯罪)を見てしまったけど、怖くて何も言えなかった、という歌詞があって、自分の弱さと闘っている曲でもある。

中学生のころ、ヤクザが電車でタバコを吸っていて、注意したかったけど、怖くて注意できなかったことを思い出してしまう(←普通、注意できない)。

自分自身の正義が貫けなかったり、はっきり言ってやりたいのに言えなかった、そんな辛さを悔しがる曲でもあり、その辛さや悔しさを含めて、この曲は素敵だと思う。

そんなに有名どころではないところで好きなのは、「たかが愛」「命の別名」、そして「狼になりたい」。

私は漫画で言うと、つげ義春なんかが好きなんだけど、「狼になりたい」という曲は、夜明け間際の吉野家の疲れた人たちの悲哀こもごも、退廃と疲れとさびれた感じの雰囲気が、その好きな雰囲気と通じるところがあり、気に入ってる。
疲れた時に、しみじみ聴きたい曲だ。

そんな中、私が一番好きな中島みゆきの曲は、「二隻の舟」だ。

この曲は歌詞が全て比喩の要素が強い。
暗い海を行く二隻の舟の景色を歌った歌詞なのだけど、二隻の舟は、自分と、自分の大事な誰かを表していると思って聞くことができる。

この曲の素晴らしいところは、大事な人を「舟」で表しているので、その誰かを、自分の大事な誰にでも当てはめて聞くことができるところ。

それは、家族でも、恋人でも、友人でも、誰でもいい。
私は、なかなか会えない大事な友達のことを想いながら聞くと泣けてきちゃう。

おまえと私はたとえば二隻の舟
暗い海を渡ってゆくひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられても
同じ歌を歌いながらゆく二隻の舟

「二隻の舟」より

「互いの姿は波に隔てられても」は、何年も会えてなくて、今はどうしているかわからない状態を表すように思えて、だけどその友達と自分は「同じ歌」を歌って、一緒に進んでいるんだと思うと、とても励まされる。

とにかく、自分の大事な誰かと自分の曲だと思って聞くと、全ての歌詞がとってもすてきなのだ。

中島みゆきの曲は、全体として、とにかく暗くて、重たくて、だけど力強くて、地に足がついてる感じで、そんなところがいい。

特に私は、中島みゆきが自分と同じ北海道札幌市出身なので、勝手に通じるものを感じている。

彼女の曲を聞くと、どの曲もそうだけど、しんしんと雪を踏みしめて歩く、暗い雪道のことをなぜか思い出す。

街灯もまばらな、暗い雪道。
道の両脇にそり立つ雪の壁で、車も人もなにも見えない。なんの音も聞こえない。
見知らぬ誰かの足跡だけを踏みしめて、ひたすらひとりで、歩く。
そんなとき、世界に自分一人だけしかいないような気分になる。
孤独と同時に、頼れる者は自分しかいないというような、少しだけ高揚した気持ちにもなる。

そんなときのことを、彼女の曲を聞くといつも思い出す。
そして力が湧いてくる。

孤独は力をくれるもの。
悔しさも、怒りも、孤独も、寂しさも、全てのマイナスな気持ちを、力に変えてくれる。
それが彼女の曲の、素敵なところだと思うのだ。

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