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宗教は実は学びの宝庫!~宗教と意外な日常・経済との関わりとは?~

みなさん、こんにちは。りんです。

今回は自分で主催しているリベラルアーツサロンで実施した宗教学・文化人類学の入門編としての「宗教は実は学びの宝庫!~宗教と意外な日常・経済との関わりとは?~」と題した勉強会のレポートをお送りします。

1.なぜ宗教?

まずは怪しいお話ではないことをお断りしておきます(笑)

また特定の宗教(キリスト教や仏教やイスラム教など)の話でもないです。

広く一般的な意味での「宗教」をある意味ビジネスモデル的に分析したときに見えてくる宗教の特徴から実は学べる点が多いのでは?
といったことに焦点を置いた勉強会でした。

例えばコミュニティやオンライン界隈では宗教は最強モデルなのではと言われてたります。
さらに自分に宗教は関係ないと思っていても実は意外なところでつながっていたりとか、とそういう日常とのつながりを学ぶことを主眼としました。

今回先生役を依頼したのは要約サイトflierの石渡さん。
大学時代に心理学と人類学。大学院時代に宗教学を専攻された方です。


2.目的

今回の勉強会の目的はこちらでした。

1)宗教ってそもそも何なのかを考えてみる!
 宗教の定義問題は難しい。定義次第では結構自分も宗教的だったり?
2)宗教の長所/弱点を語り合う!
 宗教が求められる理由、そして忌避される理由ってなんだろう?
3)宗教から学べるものを探してみる!
 組織やコミュニティ、あるいは自分自身に何か応用できるものはある?

3.では早速本編のレポをお届け!

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今回は講師役の石渡さんから自己紹介があった後、すぐに「そもそも宗教とは何か?」を考えるディスカッションとアイスブレイクを同時に実施。

ちなみに石渡さんの大学院時代の専門は「現代魔女」だったとか。
ん?現代魔女??
何やら聞きなれない言葉ですが、機会があればこの辺りもぜひ伺いたいところ。

でも今回はまず「宗教」がメインテーマです。

1)宗教とはそもそも何か?

宗教とは何か?あるいはどういうものが宗教っぽいか、宗教っぽくないかをABCの3グループに分かれて話し合い。

それぞれ、中高がカトリック系の学校だったとか彼女がクリスチャンだったとか自分の身近な宗教に関する経験や日本独特の宗教っぽい慣習(初詣、お参り、御祓い)についての話や、それ以外にもある宗教っぽいものについてどんどん意見を述べました。

例えばヨガや占いなんかも元々は宗教的側面があったとか、高校野はじめ体育会系もある種の宗教的要素があるとか、企業理念、ジャニーズ、宝塚・・・果ては教育も宗教っぽいという話まで出てきました。

ディスカッションのあとは石渡さんから「宗教とは何か?」について講義がありましたが、宗教の定義って実はとても難しいようです。

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今回は「宗教とは何ぞや?」という定義を詳しくやるというよりは、普段あまり宗教に関心のない「無神論者」が宗教から学べることは何だろう?
をテーマにしており学問的な「宗教とは?」という箇所はごくさらっと触れるに留まりました。

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2)宗教はなぜ強いのか(講義)

講義は続きます。
実は無神論者でも学ぶことがある宗教の特徴についてです。

宗教を構成する要素は大きく3つ(1.教義・教育、2.文化、3.組織)ありますが、最大の特徴は「リマインダーであること」だそうです。

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これは例えば、キリスト教なら毎週ミサにいって牧師さんのお話を聞くとか、仏教だったら繰り返しお経を唱えるとかいう教義を繰り返し教育する点に始まり、人の重要なライフイベント(結婚式、お葬式)に宗教がかかわることで人の人生に深く関与していく、という観点でも強力なリマインダーだということです。

これはまさにマーケティングに他ならないですね、とマーケターの端くれの私は石渡さんに言ってしまいましたが、現代のマーケティングは究極的に人の可処分時間の奪い合いをしているので、その観点で見ると宗教ってほんとに回数の多さで多くの可処分時間を取っているだけでなく需要なライフイベントに関与することで関与の深さも取っているという、もうある種マーケター羨望の立ち位置を取っているんですよね。

ということで、そんな宗教ではありますが、日本でも世界でもだんだん流行らない傾向にあるのだとか。
それはなぜだろうか?

ということで次のディスカッションに入っていきました。


3)宗教はなぜ流行らない(弱い)のか?(グループワーク)

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現代社会でなぜ宗教がだんだん流行らなくなっているのか?
このテーマについてまたA、B、Cの3つに分かれてグループワークをしました。

グループワークの後、それぞれの代表が発表しましたが、主な意見はこんな感じでした。

・新興宗教によるスキャンダル、ニュースによってネガティブなイメージがある。
・何かを拠り所にしたい気持ちに変わりはないが今は他に代替手段がある。
・宗教というと没入、自我喪失のイメージがあり怖い
・寄付等お金がかかるイメージがあるが、その価値を見出せない。
・中世は宗教が民衆に対する救済措置を行う役割があったが今は経済的に豊かになったから
・中世→近代、現代の資本主義社会の変化の中での価値観の変化
・個人主義、都市化によるライフスタイルの変化
・安定した社会では根付きにくいのでは?
・拡大目的がある宗教でないと流行らないのでは?

という多様な意見が出ました。

大きいのは
新興宗教による事件でネガティブなイメージが根強い点
都市化による個人主義の台頭で宗教という組織へ所属することへの価値が低くなっている
宗教に代わる代替手段(オンラインサロン等)の多様化
というところでしょうか。

そして最後のグループワークに移りました。

4)現代社会で宗教をどう生かすか?(グループワーク)

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今度は好きなテーマを選んでの二手に分かれて話し合いました。

各グループでの話し合いの内容はこんな感じでした。

1)個人として宗教に学ぶことはあるか?
参加者のたてじょーさんのグラレコをぜひご覧ください。

宗教学・文化人類学入門

宗教学・文化人類学入門 (1)


2)今の時代に求められる宗教とは何か?

・昔の宗教からの変化
・道徳
・どうぶつの森のようなサークル感覚のもの
・偶像崇拝でないもの?
・没入する物語
・ゲーム?
・虚構であることが前提である宗教が今後求められるのでは?


ということで宗教について「宗教らしさとは?」
「宗教の強み(特徴)弱み(流行らなくなっている)」
「宗教から何が学べるか?」
ということをたっぷり3時間もみんなでディスカッションしてきました!

こんなに宗教について改めて考えたことはなかったように思います(笑)


4.振り返り

個人的に印象に残った点をいくつか振りかえります。

宗教はリマインドの要素が強い、つまり繰り返し教義を教えすりこむことで人々の考え・思想に深く入り込んでいくという点において教育(マス教育)と共通点があるというのが驚きでした。
参加者に数名学校の先生がいらっしゃいましたが、まさにそんな実感があるとコメントされていたのが印象的でした。

さらにマーケティング観点からも組織論からも実は応用可能な要素があるという点も学びが多かったですね。
やはり長く続いているものにはそれだけの理由があるということ。

とはいえ、昨今、日本でも欧米でもいわゆる無神論者が増えて宗教離れが加速しているそうですが、この辺りは現在の都市化と個人主義の台頭による伝統的コミュニティ(地縁・血縁・会社・学校など)離れと通じる点があるように思います。

ちょうどフロムの「自由からの逃走」を読んでいて中世から近代現代にかけての大きな歴史の流れとも重なりました。
人々の生活全般を宗教が支配していた時代から資本主義社会への移行にともない徐々に影響力が薄れ、また価値観の変化、さらに多様化により人々の心のよりどころも多様化しているという大きな流れの中にあるのかなとも考えました。

今後、宗教がなくなるということはないように思いますが、宗教に変わって人々の心のよりどころになるのは何だろう、自分にとってそれは何だろうということを考えさせられた回でした。


担当いただきました石渡さん、そして参加いただいた皆さん、充実した時間をありがとうございました!

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