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失敗から学ぼう!〜「世界倒産図鑑」講演会レポ〜

皆さんこんにちは。りんです。

今回は私が常日頃から尊敬している方のお一人、荒木博行さんの「世界倒産図鑑」出版記念講演会レポをお届けします!

荒木さんのプロフィールはこちらから

八重洲ブックセンターで行われた今回のイベント会場はほぼ満席で埋まっており、サイン会も長蛇の列でした(もちろん私も並びましたw)

「世界倒産図鑑」のコンセプト

世の中には取り立てて素晴らしい戦略がなくても、素晴らしいマネジメントがなくても、ただトレンドに乗っているからという理由で売り上げが伸びている会社がたくさんあります。(もちろん、そのトレンドに乗る選択をしたというのは素晴らしい決断であったのですが)

そんな会社には隠れた失敗がたくさん埋もれていたりします。

世の中のビジネススクールでは成功事例を中心に授業が展開されますが、この本ではなかなか表に出てこない失敗事例から学ぶ、つまり先人の知恵ならぬ失敗から学ぼうというのがコンセプトになっています。

あくまで当事者の立場に立って今の我々がどう示唆を得るか?に重点を置いていて、ただ失敗を批判する内容の本ではありません。

倒産のパターンを5つに大別して25の事例を紹介していますが、当てはまるパターンはひとつではなく複数の理由が絡まり倒産の原因になっているものもあり、便宜上分類しています。

また本書は破産図鑑ではなく倒産図鑑です。だから今は再生した企業も掲載されています。

早速ケーススタディ
(本にないことも出てくるかも!?)

その1:そごう

百貨店のチェーン店化というイノベーションを生み出したそごう。各店舗を独立法人化し、相互出資するユニークな形を取っており20年くらいこの形で経営していました。しかし、バブル崩壊と共に経営状態が悪化。2000年に倒産します。
1994年「景気さえ回復すれば全てうまく行く」と当時の水島会長のコメントが残っています。現在の我々からするとその後の経緯を知ってますから、誤判断のように思えますが、この時点の選択肢としてはあり得るものでした。

この事例からの学び

そごうのケースは一言でいうと「強固なビジネスモデルの弊害」が原因になっています。
あまりに強固なビジネスモデルがあると現場はただオペレーションだけしていれば良くなり、だんだん考える力が奪われていきます。

ではその考える力とはどんな力でしょうか?
例えば、マーケットの潜在ニーズ調査からビジネスモデルを考え、オペレーションに落とし込むまでビジネスのフェーズ10段階があるとするとのうち2割しか考えなくなるということです。

そして当たり前を疑う力がなくなっていきます。「人はなぜ服を買うのか?」といった哲学的な問いをしなくなるのです。

「偶像崇拝の中で井の中の蛙になっている。指示しなければ何も出来ない集団と評価されている」と再建のためにやってきた元西武百貨店会長和田氏からそごう社員にメッセージが向けられたそうです。

皆さん、これは全くの他人事でしょうか?自分がやっている仕事、担当業務についてそもそも誰のために何故やっているのか考えたことはありますか?
「ビジネスのゼロ地点を考える」という荒木さんからのメッセージ。(刺さりますね...私はフロムの「自由からの逃走」を思い出しました)

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さてこの日は他にも
◯ポラロイドの事例
◯鈴木商店の事例
◯エンロンの事例
のお話をされていましたが、各事例とも企業の失敗を個人の生き方の教訓にされてるのがユニークで面白かったですね。

例えば、ポラロイド社の場合は過去の分析に比重を置いたため、新規市場に乗り遅れて倒産してしまった事例から、会場の皆さんに「この一週間で今までやってことないことにチャレンジしてきましたか?事前に分析出来ず予想出来ないことをやりましたか?」と問いかけがあったり。

こうやって自分事化して考えられるかどうかで学びの深さって変わる気がします。

さてここからは会場で出た質疑応答をお届けします。

質疑応答

Q.「過去の亡霊から逃れる」というテーマは言うは易し行うは難しでは?対策として具体的にどうすれば良いか?
A.スケジューリングすること。すぐ具体的にスケジュールに落とし込み行動すること。
(「0秒で動け」!?)

Q.再生図鑑はどうか?会計監査からの倒産の兆候の見極めは?
A.再生図鑑はありだと思う。監査で見極められたケースもあるが隠蔽してしまうこともある。監査の役割は大事(とくに具体的数字)

Q.取引先の見極めは?
A.トレンドに乗ればある程度売り上げがいくから見極めづらい。変化に対応出来るかが鍵になる。

Q.何故今回この内容を本というパッケージにしたのか?
A.今の世の中で一番届けやすいコンテンツだから。

最後に

個人的に最近、失敗事例を読んだ後にこうすれば間違いないとい教科書的セオリーを読むと理解度が全然違うなという体験をしたばかりで、「失敗から学ぶ」って本当に大事だなと思ってます。

ただ「こうした方が良い」て言われるだけでも、もちろん勉強になりますが、失敗のケーススタディをしておくと「なぜそうしなければならないのか」が分かり理解度が非常に深まります。

私も前掲のツイッターのケースで、最初はスタートアップの資本政策で掲載されている6箇条がなぜ大事かよく分からずに何となく理解したつもりになっていたのが、VCとのトラブルを赤裸々に綴った記事を読んだ後に、もしやと思い再度記事を読み返したら目からウロコで理解度が変わりました。

ということで成功事例からだけでなく失敗からも学ぶのは本当にオススメです!

「世界倒産図鑑」はこちらから。

音声メディアVoicyでも本を出版されるにあたっての荒木さんの思いや出版までの経緯など詳しく聞けますよ😆耳からも学ぼう!


おまけ「世界倒産図鑑」に群がる人々(笑)

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仲間にも会えて一週間の疲れが吹き飛んだ時間でした。やっぱりこういう学びの場は楽しいと再認識。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

またお会いしましょう(^^)


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