最後の最後まで何が起こるかわからないカナダでの「まぁいっか」精神

私がカナダに来てから早16年。

カナダに来てから学んだことは本当に沢山あるけれど、その中で断トツなのがこれ。

最後の最後まで何が起こるかわからない」カナダ

正直日本以外の国はこんな感じなのでは?と思う事もあるけれど、とりあえず実体験を重ね、この事が特に教訓として刻まれている。


カナダではサービス精神はあまりないように思う。

人に対しては優しい人達が沢山いるのだけれど、日本のように仕事をしている上で相手に対してのサービス精神はない。

レストランなどで食事をすると会計の時にチップを払うのだけれど、なんでこのサービスに対してお金を払うの?とカナダに来た当初は本当に腑に落ちなかったし、今でもそれは多少あったりする。(勿論素晴らしいサービスをしてくれる人もいる)

怠けている、というのではなくて、何というか「業務内容の最低ラインを攻める」人が多い感じ。

それは私自身を含めこちらで知り合った日本人の知り合いの職場事情からも伺える。

勿論全員が全員そういうわけではないし、きっちり仕事をしてくれる人たちだっているけれど、まぁ悪い事の方が目立ってしまうのは仕方がない事だとも思う。

けれど、そんな感じで働く人が沢山いても普通に世界は回っているので、何気にこの手の抜き具合でも大丈夫なんだ、という事も学んだことの一つです。


けれどそんな風に働いている人たちと関わった時に困るのが「予測が出来ない」という事。

何かを頼んで、OKと言われたからにはその結果を期待していると出来ていない、何てことは日常茶飯事で起こる。

何かを注文して届いたというメールが来たから取りに行ったら届いていなかったり、ネットでは在庫アリなのにお店にはなくてしかも「そこにあるだけ」と言って調べてくれなかったりもする。



こんな事があった。

カナダに来て2年程した時、学生の時に買ったプリンターの調子がおかしくなって新しいものを購入した。

でもその古い方のプリンターも動くには動いていたから捨てるのは忍びなく、リサイクルセンターに持っていく事にした。

バンクーバーには服や食器、おもちゃ、電化製品などが持ち寄られて売られているお店がいくつかある。

でもロケーションによって受け入れてるものも違うかもしれないと思って、まずこのお店の大元にメールでプリンターを引き取ってもらう事は可能かとの問い合わせをした。

返事はOKで、でも念の為にと実際に持っていこうとしていた店舗にも電話で確認してOKを貰ってから、後日友達に車を出してもらって持っていく事にした。

そして実際に持っていったらお店にいた人に「プリンターは受け入れていません」と引き取り拒否。

でもメールでも電話でもOKと言われたと食い下がったけれど「ダメ」の一点張りで、それをOKしたのは自分ではないと言われる始末。

電話の主の名前をきちんと確認していなかった私の落ち度である。


私は基本的に石橋を叩いて叩いて叩きまくってから渡るタイプだし、計画をして物事を実行するのも得意な方だと思う。

そんな私でも、カナダでの生活では行き当たりばったりにせざるを得ない。

だってどんなに計画を立てても、準備をしていても、相手がいる限り、最後の最後までどんな回答を得られるかわからないのだから!

そうして揉まれていき、今ではとにかく色々なパターンを想定した上での行動をするようになった。

でももちろん全部何て想像できないから、基本は「まぁいっか」の精神である。

何事もフレキシブルに。

そして完璧を求めず、7~8割でOK。



その上での弊害は日本でのサービスの良さに戸惑ってしまう事。

以前帰国中に、両親が注文したお酒が割れて届いた事があって、それに対してその配達をしてくれた方は「新しいのを持ってきます」と言って割れていたのをその場で回収してくれた。

そこで私は「いつ」「誰が」「どうやって」届けてくれるのかと色々な質問をしていたら母から止められた。

持って来てくれると言っているのにどうしてそんなに確認するの、と言われ、だってそうしないとこのまま何の証明もなかったら何の保証もないでしょう?と思ったけど、いやいやここは日本。

そんな事をしなくても、というか心配をする必要がない環境。

仕事をする上での信頼とかサービス精神とかが本当にすごいと改めて思った。

でも逆に言えば、こういう仕事の仕方をしている人たちは本当に気を使って頑張ってくれているわけで、日本にいる時は当たり前だった仕事のサービス精神が、働いている人たちにしてみたら自分達を追い詰めてしまっているのではないかと今では思ってしまう。

だってカナダではみんなあんなに適当に働いているのに、それでも社会は普通に回っている。

勿論その頑張りのおかげで質の良いものが届けられたりしているわけだし、他の国からの信頼を勝ち取ったりしているし、安心して生活が出来ているのだけれど、実際に働いてる人達自身は本当に素晴らしいし、でも大変だとも思う。

今後の世界で、子ども達はどのような仕事の体制で、どんな働き方が求められていくのか常々考えているけれど、こんなに世界の動きが速いと私などでは全く予想も付かない。

ただ、カナダの自分がしっかりしていないとダメな「自己責任」と日本の仕事に対しての「責任感

両方とも’責任’だけどその方向性が違うこの二つ。

この二つを足して割ったくらいが丁度いいのでは、と思う。

どんな時も臨機応変に、責任を持ちつつ、でも気を抜ける所では抜いての「まぁいっか」で乗り切るのが良いと思うのですが、どうでしょう?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?