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多文化社会での保育とアドラー心理学③(宗教)


世間はすでにハロウィンのデコレーションで溢れかえっていますが、今回はクリスマスについての事をお話したいと思います。


とにかく移民が多いカナダ、バンクーバーには色々な宗教を持っている人たちが共存しています。


街中に沢山の違う宗教の教会が建っているし、園の中でも違う宗教を持っている家族が沢山います。


宗教上出来ない事や食べられない物などの情報は入園の最初に教えて貰いますが、働き始めの時には目から鱗でした。


保育士の中には仕事の合間にお祈りをしている人もいるし、宗教上食べられないものがある子どももいます。


私自身無宗教で、日本での職場でも宗教上何かをする、もしくはしないという事はあまりなかったので最初は覚えるのに四苦八苦した事もありました。


そしてそれぞれの宗教でのイベントは当然違い、そうなると園の中でも何をして良いのか、いけないのかもよくわからなくなっていきました。


その代表的なものがクリスマス。


11月になれば街中は一気にクリスマス仕様になります。

でもクリスマスって、キリスト教のお祝いというのが元ですよね。


そうなるとキリスト教以外を信仰している家族にとっては、クリスマスはお祝いではないし、逆にしないもの、となっています。


”もし「クリスマス」をするなら他の宗教のものも取り入れるべき”という考えの下、一時他のお祭りなども調べて、それをクリスマスを含めて子ども達に紹介したりした時もありました。


ただ、色々な宗教やイベント、その由来や意味、いつどのようにするのかなど情報は沢山。


その宗教の事などを良く知っている保育士や家族がいる時にはその人たちに教えて貰っています。


でも毎年家族も入れ替わり、それらのイベントにあまり気持ちよく参加できない家族がいるのも事実。


「自分の子どもにはしないで欲しい」という要望もあると、その子だけを除いて何かをするという事も出来ません。


でも、その一家族の為に他の全ての家族がそれを楽しむ機会を失うというのもいかがなものか、と色々な意見が飛び交いました。


その度にある意味問題になるので、結局今は「クリスマス」ではなく「Winter Party」という形でイベントをしています。



ただ、街中にはおそらく世界でも珍しいものがこの時期の街の真ん中に建てられます。

後ろ側にあるツリーは言わずもがなクリスマスツリー。

そして手前の9つの蠟燭のようなものはユダヤ教のお祭り、ハヌカの象徴でもあるハヌッキーヤー。

二つの違う宗教のお祭りのシンボル二つが堂々と街の真ん中に隣同士で置かれるわけです。

「人種のるつぼ」と呼ばれるカナダ、バンクーバー。

ここではお互いを尊重しつつ、それぞれが自分の思うように生きています。

全くいざこざが過去になかったわけではありません。

でも、少なくとも今はそれぞれの違いをお互いに認め、共存しています。


そんなバンクーバーでの保育だからこそ、少し外に出れば見えるものを敢えて避けるより、自分には関係ないと避けるより、「この時期にはこういう事をする人たちもいるんだ」という事を知る方が子ども達の将来の見聞を広げる意味でも良いと思うんですよね。

でもこれはあくまで「無宗教」な私だから言える事かもしれないし、それぞれの違う考え方を尊重する事で「クリスマスは禁止」になっている私の職場。


お互いの違いを認め、受け入れ、その上で自分が我慢するのではなく、一緒に生きていく為の方法を一緒に模索する。

どうする事がお互いを尊重しつつ、でも子ども達に広い考えと知識を偏見少なく持つ機会を増やせるのか。


正しい決まった答えはないので、これからも考え、話し合い、模索していきたいとます。

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