笑いと恐怖は紙一重(いまさら)-2023年1月12日

昨年末にBSで放送された「このテープもってないですか?」という番組がある。

テレビ局にも残っていない昔の映像を視聴者から募集して放送する懐かしバラエティ番組…という体の理不尽ホラーエンタメだ。

おぞましい映像を見た出演者たちの言動が徐々に狂っていき、終盤にはもはや適当な単語を結びつけただけの支離滅裂な言葉しか発さなくなる。まるで映画『パプリカ』の所長の電波演説が25分間延々と繰り返されているような、見てるこっちの頭までおかしくなってくる、そんな番組で非常に面白かった。

ちなみに本番組を手掛けた大森時生さんは他にも、視聴者密着バラエティの皮を被った狂気のサスペンス『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』や、架空の国ネラワリのバラエティ番組『Raiken Nippon Hair』(上の動画では、島崎和歌子の呑み番組が"ジャック"されたという体で放送)など、意欲作を多く担当されている。全部interestingの意味で面白いから見てほしいね。

※『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』の感想はここでも書いてます(堂々たる宣伝)


閑話休題。なぜ改めてこの話をしたかというと、その番組がなんとオモコロ原宿さんにインスパイアを受けて作られたものだというからだ。

原宿さんの感想ツイートに大森時生さんご本人がリプライされていて今更ながらに知った。

オモコロの記事やYouTubeでは笑いが巻き起こる原宿さんの発言内容が、ホラーに変換されるとこうまでおぞましくなるものかと、衝撃を受けた。


ただ、確かに『このテープもってないですか?』を象徴するこのセリフ

芒に月、出鱈目の坊主が真っ黒に塗り潰した枯尾花。花の蕾の羽化と同時に裏返った全展望監視の円筒形、円筒と管と消化管、胃袋以外のすべてを露出した両生類

これをYouTubeの川柳やじゃれ本の企画であの陽気なBGMとともに原宿さんが書いてたら、加藤さんが笑いながら「何言ってんの?」みたいなツッコミをしてるのが容易に想像できる。

しかも原宿さんは昔のオモコロでこういった笑いとも恐怖ともつかない記事を書いてたりするから、実はホラーとの親和性は高いのかも知れない。


笑いと恐怖は紙一重、という件についてはどこかで真面目に語りたい。

フェイクドキュメンタリーQの『この動画はお祓いを済ませておりません』とか、増田こうすけの『ギャグマンガ日和』「シンデレラ」「豪華寝台列車の旅」や『シタバシリ』とか、一歩間違えれば笑いにもなるし恐怖にもなるみたいな、境界線ギリギリの作品をもっと集めたい。


あと、今回の件しかり月ノ美兎しかりダウ90000しかり、自分の好きなコンテンツがオモコロと何かしらの形でつながっていくのは何だか不思議な感覚だ。それぞれ似通った要素があって、だから自分はどれも好きになるし、コンテンツ同士も似たものを感じて結びつくのだろう。

スタァライトもオモコロとの親和性はとてつもなく高いけど、いずれコラボとかしてくれたら嬉しいな。

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