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「戦うか、戦わないか」2021.04.25 FC町田ゼルビア vs 大宮アルディージャ J2第10節マッチレビュー

前半のうちに先制し、その1点を守り切って勝利。2試合連続で3点取って勝っていたため、若干の物足りなさはありますが、それでもアウェイの地で勝ち点3を獲得。そしてこの3連戦を3連勝無失点と文句なしで終えるという驚くくらい出来すぎな結果だった。

この試合に関しては淡々と「自分たちのサッカー」をしただけで、特に特別なことは何もしていないように見えた。1対1のところ、走るところで負けなかったから1点を守り切ることができた。それに尽きると思う。それでも、攻守において相手に対策され始めているところがいくつか見受けられたので、今回はそれについて触れていきたいと思う。

スタメン

スタメン

ゼルビアは今回の3連戦ではスタメンはいじらず。ただ隔離期間明けのドゥドゥがベンチ入り。大宮は前節から3人変更。試合前の時点で未だ4月勝ちなしと苦しいチーム状態。


何度も狙われた右チャンネル

この試合の最大のピンチが54分の小島幹敏に右サイドを破られてゴール前にいた中野誠也のシュートがポストに当たったシーン。このシーンに代表されるように大宮は右サイドを執拗に崩そうとしてきた。具体的には右SB三鬼海の背後や三鬼と右CB深津康太の間のチャンネルと呼ばれるスペースを攻略してきた。

この右サイド攻略の背景には大宮の左右のSBに与えられたタスクの違いがあると思う。前半の大宮の右SBは山田将之で、過去ゼルビアに所属したこともあるこの選手は、元々CBなため攻撃時に何か特別な働きをすることは求められていないように見えた。そのためビルドアップでボールが詰まる原因の1つとなっていた。そしてハーフタイムに山田に代わって馬渡和彰が入ると、馬渡のところで時間を作れたり前を向けたりするため、前半はかなり左に傾いた攻撃のバランスが左右で均等になり、ゼルビアとして奪いどころが定まらくなったため、馬渡投入の効果は相当あったと思う。一方で左SBは翁長聖がフル出場。翁長は元々WBやシャドーでもプレーできる選手なため、守備的なタスクよりもウィングとして、1人のアタッカーとして起用されているように見えた。そのため試合中に翁長と三鬼というマッチアップが何度も見られ、ここでサイドを破られて上記のようなチャンネル攻略をされてしまった。

他にもこの54分のシーンに代表されるように、ゼルビアのボールホルダーに出ていく守備を逆手に取った攻撃が何度も見られた。この食いつきの良い守備は今のゼルビアの守備の特徴の1つでもあるが、ここで少タッチで時間をかけずにプレスに来た選手の逆を取るようなパスを出すことで、強固な4-4ブロックを乱されるというのは今までの試合でも何度か見られたが、今回はこれを再現性を持ってやられてしまった。特にダイレクトプレーやワンツーに弱く、ある意味ボールウォッチャー癖があることがこれから先の対戦相手にバレてしまう試合となったと思う。

これから先、ここをどのように修正してくるのかは注目ポイントの1つとなりそうだ。


ようやく形になったカウンターが対策されつつある…

この11人で形になりつつあるゼルビアのサッカー。ボール保持が安定したのと同時にカウンターの型が出来つつある。それがポジトラ時に吉尾海夏が敵の背後を取りに行くランニングをすることだ。DAZNのカメラだとアップでその動きが見切れていることが多いと思うが、実況や数々のチャンスシーンでの動きから意識的にやっている動きだと推測できる。

ポジトラ時にはなるべく吉尾がボールに関与しないように中央で中島裕希や長谷川アーリアジャスールのポストプレーなどで敵陣へと押し込んでいくのだが、その時にする平行のサポートが大宮に対策されていた。大宮はリスクを冒してでもボールサイドに寄せることで、人海戦術でスペースを埋めてパスコースを潰そうと試みていたと思う。

しかしこのボールサイド寄せが中途半端だと、得点シーンのように大外の中島裕希がフリーになってしまうということで、分かってはいるけど止められなかったという中途半端な対策だったためこの試合ではそこまでこの対策が問題として浮き彫りになることは無かった。

ただこれから先の対戦相手が大宮以上の練度で対策をして来たら、今のゼルビアはそれを上回ることが出来るのだろうか。


試合結果

町田 1-0 大宮
得点者:32' 中島裕希

さいごに

最初にも言った通り、何も特別なことはしていなくて、ただいつも通りの戦い方で勝つことが出来たと思います。それがチームとしての自信に繋がると思うし、良い流れにチームを乗せる事にもなると思うので、3連戦を3連勝で終えることが出来て良かったです。

ただ課題も見つかったので、そこは少ない準備期間だけれども課題を克服して、また次の3連戦に臨んで欲しいと思います。


今節もお読みいただきありがとうございました。

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