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2020.9.20 FC町田ゼルビア vs 大宮アルディージャ

かなり痺れた試合でした。久しぶりに現地に行ったこともあり、試合終了時には興奮していたのですが、気持ちが落ち着いてから見返すといくつか見えてくるものがあったので、今回はそれについて書いていきたいと思います。

どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
前節より2人変更
平均身長(GK除く):177.6cm
大宮
3-4-2-1
前節より4人変更
平均身長(GK除く):179.8cm

スタメンを少し変えてきた理由

前節までの5連戦はすべて同じスタメンで戦ったものの、この試合では2人だけですが、スタメンを変えてきました。

その理由としては、右SBのところが小田の累積警告による出場停止で別の選手を使わざるを得なかったということ。右SHはカイナが出場を続けてきた中で変えた理由として主に考えられるのは高さ対策です。配置換えでステファンをFWでスタメン出場させることにより、セットプレー時に大宮の高さに対抗する、サイドからのクロスやポストプレーなどで攻撃のバリエーションを増やすなどの理由が考えられます。

右SBに酒井を選んだ理由は、2番手と考えられる大谷がコンディション不良、特別指定の青木は大学のリーグ戦があるため出場できない、そして下坂は監督に信頼されてない?というところで、酒井をCBからコンバートをせざるを得ない状況だったということでしょう。もちろん小田よりも約10cm身長が高いため、大宮の高さに対抗するという理由もあったと思いますが。

酒井は久しぶりのフル出場、そして慣れない右SBでの出場でしたが、持ち前のスピードを活かした攻撃参加や守備など特徴は出せていたので、今後も出場のチャンスがあると思います。

ステファンも山口戦以来の先発でしたが、出場した全試合の中で一番出来が良かったと思います。チームとしての活かし方がわかったこともあるのか、足元へのパスが以前に比べ増え、そこでのポストプレーでチームに時間をもたらしてくれ、他のFWの選手と差別化できるプレーだったと思います。気候も涼しくなってきたことも関係しているのか??


大宮の攻撃のスイッチ

この試合の大宮はボールを持つことで、ゼルビアの選手たちが前がかりになることを待ち続けていました。そして、噛み合わせの悪いサイドから一気にゴール前まで迫ろうという算段だったのでしょう。

もちろんWBのところへプレスに行きずらいことを分かっているゼルビアの選手たちは、前からプレッシングに行くのではなく、大宮の3バックにはボールを持たせ、CHの2人の動きを警戒してサイドに誘導させようとしていました。

このゼルビアが採った守り方に対し大宮は両HVの積極的な前進、CHの1人がFWの前でボールを持つことで、守備ブロックを引っ張り出すなどで対抗してきました。190cmのイバを活かすために安易にロングボールを使うということはしませんでしたね。

それよりもサイドを経由してシャドーにラインブレイクをさせよう、一気にゴール前まで迫ろうということをしてきたので、ゼルビアはSHが低い位置まで戻らざるを得ず、守備ブロックの重心が後ろに下がっていました。

具体的に見ると、大宮のHVが前進してくるのを食い止めるためゼルビアのSHが出てきたところが大宮の攻撃のスイッチでした。

WBフリック

そこからHVにボールが渡り、シャドーやイバがHVのフリックを受けてドリブルやターン、パスでゴール前に前進してきました。前半の序盤はこれにイッペイの中央に切り込むドリブルが前進の手段に加わります。ですが、前半の飲水タイム以降は、岡田が中央を切った守り方をしたため、中央に切り込むドリブルは見れなくなりました。

このときシャドーの小島、黒川がゼルビアにとって嫌なポジションであるCHの脇やバイタルエリア、チャンネルでボールを前を向いた状態で受けるのが一番最悪なパターンでした。ここにイバが絡むとゼルビアの選手たちはボールウォッチャーになり足が止まるので、ダイレクトプレーをされると後手を踏んでいました。

大宮の選手のプレー選択ミスや判断の遅さと秋元のファインセーブに助けられ、久しぶりの無失点に抑えることができました。


安藤のプレスバックとチャンネルを塞ぐ意識

前半の飲水以降、上で言ったイッペイへの対応に加え、安藤がプレスバックするようになっていました。

フォーメーションの噛み合わせの悪さ、サイドでの数的不利から後手を踏むことが多かったため、数的不利を数的同数に持っていくためにこの試合では安藤が積極的にプレスバックしていました。

主なタイミングとしてはWBに入ったときで、CHへのパスコースを消すためプレスバックをしていました。ここを塞いだことで、中央へのパスコースを減らしてWBを窒息させることができていました。また、CHを経由したサイドチェンジをさせることも無かったです。

また、前節失点に結びついたチャンネルに空いた穴を埋めるということを意識的に行っていました。

これはペナルティエリア付近のサイドでボールを持たれた時にSHの選手が戻ってきて埋めたり、CHの選手が埋めたりしていました。これは左サイドの岡田が特に意識的に行っており、自主的に前節を分析してやっているのか?とも思いましたが、現地で深津が「戻って来いよ!」的な声を出していたので、チームで共有されていたことだと思われます。

このチャンネルを埋める意識が今後も持続できれば、ゼルビアの守備の課題の1つは解決することができたと言えるでしょう。


左偏重だった攻撃

この試合では右SHに平戸が入ったこともあり、いつもは右サイドに偏った攻撃が、左サイドに偏っていました。試合前アップで右サイドから平戸と酒井がクロスを上げる練習をしていたので、この試合も右偏重だと思っていましたが、違いました。

サイドで岡田が幅を取り、ドリブルやパスなどでゾーン3に侵入したり、この試合調子のよかった海舟が相手の身体の軸をずらすようなドリブルやターンで状況を打開するシーンが多かったです。

ですが、岡田の持ち味である質の高いオフザボールの動きを見せるシーンがなく、セットオフェンスの時にチームとして引き出しが少なくなってしまいました。簡単にクロスを上げても跳ね返されることは明らかなので、どうしてもゾーン3で中央に侵入していく動きをする必要があったのですが、その動きはあまり見られませんでした。

逆に右SHの平戸がピッチ中央から左サイドへゴールとは逆方向にランしてステファンにフリックしたシーンがありましたが、意図が合わずボールロストになってしまいました。

もちろん大宮の右WBのイッペイが攻撃時にかなり高い位置を取るので、そのイッペイの空けた穴を突くという狙いもあったと思いますが、ポポヴィッチ監督も試合中に支持していたように、もっとサイドチェンジを多用して、相手のブロックの歪みを作れれば、もっとゴールに迫れたのではないかと思います。


試合結果

町田 0-0 大宮

さいごに

開幕戦ぶりにスタジアムで試合を観て、DAZN以上に選手や監督の声やカメラに映っていないエリアの動きなど情報量が多く、レビューがとても書きやすかったです。

ひとつ気になったのは、試合中のゴールキックの前やケガによる試合中断などでプレーが止まっている時に、声を出している選手が深津や秋元など一部の選手に限定されていたことです。もっと平戸や髙江などの声も聞こえてもいいのになーと感じました。

そして選手にとって動きやすい気候だったからか、特に外国籍選手の動きが今季一良かったように感じました。日本の暑さは特殊で慣れるのが難しいと言いますから、涼しくなっていくこれからに期待です。ドリアンも久しぶりに長いプレータイムを与えられ、チャンスをモノにするため積極的にプレーしていて決定機もあってとても良い動きだったと感じました。もしかしたら親愛なる兄と契約更新しなかったチーム相手に燃えるものがあったのでしょうか。

次はまたホームで長崎戦ですね。順位こそは上ですが、今節の松本戦の試合の終わり方も良くなく、アルウィンの雰囲気に飲まれるような後半で、調子も右肩下がりなので、チャンスはあると思ってます!ホームで岡田に決めて欲しいなあ。


今節お読みいただきありがとうございました。

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