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2020.8.30 FC町田ゼルビア vs ファジアーノ岡山

最初の5連戦を勝利で終えたゼルビアですが、2度目の5連戦の初戦を勝利で飾ることができました。

その要因としては、岡山に比べ、ゼルビアの方がやるべきことがチーム内で整理されていて、それがピッチの上で表現することができていたことに尽きると思います。

局面ごとに難しいプレーを選手に求めず、簡単なプレーを選手に要求したことが勝利に繋がったと思います。

スタメン

スタメン

ゼルビア
4-4-2
岡田が今季初スタメン
平均身長(GK除く):174.9cm
岡山
4-4-2
前節より3人変更
平均身長(GK除く):176.7cm

やるべきことが明確になってきた攻撃

最初の5連戦の終盤、磐田戦あたりから徐々に再現性のある攻撃が見られるようになり、前節の山口戦では複数得点での勝利と攻撃における各選手のタスクが整理されてきた印象がありました。

そして久しぶり1週間空き、戦術的なトレーニングができたであろう今節の準備期間ではポジティブトランジション(以下ポジトラ)における動きの整理も進んだなという印象でした。この動きが整理された結果が2点目に表れていました。

ポジトラの局面ではとにかく縦に速く、ボールホルダーを追い越すような動きを各選手に求めていると思われます。ですが全員が追い越す動きをするのは、ボールホルダーが前を向いているときのみ、つまりゴール方向にボールを持っているときのみです。

前向きボールホルダー2

ロングボールを受けた安藤などが相手を背負い、ゴールに背を向けているときは平戸が落としを受けれる位置、海舟と髙江も落としを受けれる位置取りをします。そして岡田、カイナの両SHは誰かが落としを受けたと同時にゴール方向に斜めのランニングを見せます。

後ろ向きボールホルダー

ポジトラにおける動きの整理といってもボールホルダーの体勢によって周りの動き方が違うというのがポイントですね。

そして攻撃における動きの整理も行われています。その時々に出場している選手の特性、プレースタイルに合わせて周りの選手の動きが変化していました。

例えば左SHはスタメンが固定されていないので、出ている選手によって周りの選手の動きが変化しているのがはっきりと見て取れます。この試合では岡田が先発でした。岡田はオフザボールの動きで勝負する選手なので、相手の背後のスペースへのパスが多い印象です。パスの出すタイミング、受け手の走るタイミングが合っていてお互いの特徴を理解していることが見て取れます。また、同サイドのSBの奥山は岡田を大外から追い越すような動きでサポートに回ります。

そしてマソビッチや負傷離脱中のジョンが左SHで先発している時は、足元へのパスが多い印象です。これは2人が独力で仕掛けるタイプだからです。周りの選手は仕掛けるスペースと時間を与えます。仕掛けることができなかった場合に備えて奥山はバックパスを受けれる位置にいます。

FWも安藤とステファンでは全然タイプが違うわけで、それぞれどのような形で周りに活かされているのかは別の機会に書ければいいなと思います。


堅さが増したブロック守備と手詰まり感のあった岡山

2試合連続のクリーンシートと守備面での好調が見て取れますね。この試合では今後の連戦を見据えてか、前から積極的にプレスに行くのではなく、ブロックを築いて相手を待ち構える守備をしていました。

岡山は2CBと最終ラインに落ちたCHの上田の3人と両SB、もう1人のCHである白井が主なビルドアップ隊ですが、思うように前進することができていませんでした。

その理由としては、ゼルビアの2トップがボールホルダーへの制限と白井へのパスコースを消していたことで、中央のエリアが封じられていたこと。そしてハーフスペースあたりに構えたゼルビアの両SHが、岡山のSHの上門、野口へのパスコースを消し、SBにボールが入ると同時にプレスに行き内側を切っていたことで、第1プレッシャーラインを突破させることができなかったことが主な理由でしょう。

守備ブロック

ここで少し気になるのが、カイナの動きです。カイナはSBにパスが出る前に予測だけで動いてしまい、SHへのパスコースを空けてしまうシーンが何度かありました。岡山としてはゼルビアのSHをできるだけ釣り出し、SHへのパスコースを作りたいはずで、まんまと岡山の術中にはまっていました。

また、白井や上門、野口がゼルビアの2トップの裏でパスを受けることができず、パス回しをゼルビアの第1プレッシャーラインの前でするしかなかった、パスでプレッシャーラインを突破することができなかったというのも岡山の攻撃が思い通りにいかなかった理由でしょう。

もちろん海舟や髙江が2トップ裏のスペースを圧縮していたのも素晴らしかったです。

地上戦で思うようにいかなかった岡山は、空中戦に活路を見出します。前半は最終ラインのボールホルダーへの圧が強かったため、GKのポープまでボールを下げ、ロングボールを入れる形を採っていました。後半は疲労からあまり最終ラインへ圧をかけることができなくなったため、最終ラインから簡単にロングボールが入るようになりました。

このロングボールは空中戦に弱い奥山や水本のいる左サイドが目的地で、 イヨンジェあたりに競らせ、セカンドボールを回収して2次攻撃に繋げようという目的がありました。ですが、岡山は最終ライン付近にCHの2人がいるため、中盤が数的不利になっていて、セカンドボールは人数で勝るゼルビアに分がありました。

後半途中にゼルビアが3枚替えをすると全体の強度が落ち、岡山に時間とスペースを与え、危険なシーンを作ることもありましたが、GKの秋元を中心になんとか無失点で試合を終えることができました。


試合結果

町田2-0岡山
得点者:21' 平戸太貴
    31' 平戸太貴

さいごに

岡山が苦しんでいるなという印象でしたが、この悩みは京都~北九州あたりの連戦でゼルビアが抱えていたものと似ているなとも思いました。

繋ぐサッカーをしようとしているけれど、上手くいかない。先に失点してしまうと逆転できない。ひっくり返せない。という悩みはゼルビアが以前抱えていたものと似ているなと思いました。

ゼルビアは2試合連続で先制できたため、良い感じで守り切れていますが、これが先に失点するようなことがあれば、苦しい試合展開になるのではないかなと思います。

正直、全然スコアが動かないと予想していたのでPKで先制できたのはラッキーだったなと思います。その後も岡山のファウルトラブル、岡山のCKからのカウンターで2点目と岡山のメンタルを立ち直らせる隙を与えさせなかったことで上手く試合を進めることができたのではないでしょうか。

リードした展開にもかかわらず、ベンチには攻撃的な選手ばかりで、CHあたりの選手を代えることができなかったのは、疲労のことを考えると少し残念でした。連戦のベンチメンバーを含めたメンバー選考は今後注視していきたいです。

今節もお読みいただきありがとうございました。


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