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2023.2.26 J2 第2節 FC町田ゼルビアvsザスパクサツ群馬 レビュー

先週の開幕戦は昇格候補のベガルタ仙台と対戦し、決定機がありながらも決めきれずスコアレスドロー。

そして迎えた今節は2試合連続でホームゲーム。相手はザスパクサツ群馬で、前節はホームに秋田を迎えてスコアレスドローに終わっている。

それではいってみよう!

スタメン

町田:4-2-3-1 群馬:4-4-2

町田は前節と同じメンバーだったが、キックオフ直後に髙橋大悟が左SHに、エリキが中央にポジションを取ったのが唯一の変更点。

群馬は前節から2人変更。契約の問題で出場できなかった武をツートップに一角に起用。中盤に天笠を起用した。

積極的なCHの攻撃参加で前向きを作る仕組み

前節は、大外のレーンでエリキ、平河の個の力を活かしたカウンターやデュークの高さを活かしたクロスのパターンが多く、単調な攻撃だったのは否めなかった。

今節は、群馬が自陣深くに撤退してからのブロック守備を行ってきたため、大外の裏抜けやショートカウンターなど前節のような攻撃の形が効果的でない展開が多かった。しかし、まずはデュークを見てボールを当てる、もしくはクロスを上げるのは継続。

そのため、ビルドアップに人数をかけずにCHの2人をなるべく高い位置でプレーさせ、ファイナルサードに人数をかけようという狙いが見られた。

また、下田や髙江が攻撃参加してゴールに背中を向けた状態でデュークやエリキにボールを当て、そこに平河など3人目の選手が絡んできてゴールに向かって前向きな状態を作り、シュートや他の展開を試みるシーンに再現性があった。

7分、13分、31分のプレーがこれに該当する。特に、31分のエリキのシュートまでいった展開はかなり理想的であったと思う。

31分のエリキのシュートまでの形

ただ、この試合の群馬が前からプレスに来なかったので、町田の最終ラインに比較的、余裕があったため、CHの攻撃参加が可能であった。しかし、今後、FWが前から限定してくるチームと対戦した際にはビルドアップで詰まって、なかなかそこにたどり着くことすら厳しい展開になってしまうかもしれない。

それに加え、前節よりもビルドアップが整備されていない印象を持った。そのため、次節の金沢も群馬と同じ4-4-2を採用しているチームであることから、どのようにボールを前進させるか、改善が見られるかを注目したい。

中盤で後手に回った理由と後半からの対応策

今節は群馬にボールを持たれる時間が長かったように感じた。

町田はボール保持を志向しているわけではないので、ここは許容範囲内であるものの、ミドルサードでの相手のプログレッション(ボールをファイナルサードに進める)のところで上手いことやられてしまったのが前半。

群馬はボール保持の局面で、左SBの中塩が左HVになり、3-5-2のような形に可変する。さらに佐藤や長倉などがCHの近くまで降りてきたり、髙江の脇にポジションを取ることで、髙江が一時的に2人を見ないといけない状況になり、どっちにも強く寄せられない中途半端な状況が続いた。

前半の相手ビルドアップ時の迷い

また、右SHの平河が対面する中塩にガンガン前から行けない状況が続き、平河が誰を見ればいいのか分からない宙ぶらりんな感じに。そのため、平河の背後、髙江の脇を主に天笠に使われてしまう状況が続いた。

これでビルドアップからプログレッションに移行した群馬は、どんどんボール保持者を追い越す動きを見せ、テンポよく町田陣内に侵入。

これは前節から感じていたことだが、町田の選手たちにプレスバック、抜かれた後に帰陣の意識が薄いことが気になっている。単純に走り負けていたのか、単に意識の問題なのかは分からないが。

後半に入ると、町田はこの問題を修正してきた。おそらくエリキとベンチの意思疎通がポルトガル語の通訳がベンチ入りできない理由から難しいのだろう。そのため、ハーフタイムでの修正となった。

デュークとエリキが群馬のCHの2人をマンマーク気味に見ることで、相手の最終ラインにボールを持たせることを許容しつつ、酒井と中塩の両HVにボールが入った時は髙橋と平河の両SHがプレスに行くという、いわばプレスのスイッチが決まったことで、チーム全体がプレスに行くタイミングが定まり、相手のCHの2人にボールを触らせないことに成功した。

後半の相手ビルドアップ時のプレスの修正

特に天笠は後半にほとんどボールに関与できていなかったと思う。群馬があまり蹴らないチームだったことが功を奏し、より相手ゴールの近くでボールを奪う機会は前半に比べて多かったと思う。ただし、とても狭いエリアに密集していたため、すぐに奪われてしまうことも多く、シュートまで完結することは少なかった。

ただし、ハーフタイムであったものの、的確に試合中にこういった問題点を修正できるのはベンチに優秀なコーチ陣が座っていることの現れではないだろか。


試合結果

2023.2.26
町田 2-0 群馬
得点者:38' 池田樹雷人 
    84' 翁長聖

さいごに

攻守ともに主導権を握れたとは言えないまでも、セットプレーで2点を取って勝利という、本当に黒田監督が志向しているサッカーが体現できた試合だったかなと思います。

相手のシュートがポストに当たったり、それなりにピンチもあったけれど、大事なところで身体を投げ出して守っているところで、絶対に失点は許さないというチームとして大事にしているところは表現されているかなと。

ただ、流れの中での得点であったり、左SHに入った髙橋大悟をどのように生かすか、それとも沼田や黒川など他の選手をスタートから試すのかなど、課題というか解決しなければならないポイントもあるけれど、全て勝ちながら改善、修正できれば最高だなと思いました。


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