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宇宙論⭐︎講座『LOVEマシーン2021』を観た、という話。

宇宙論⭐︎講座『LOVEマシーン2021』を観た。

変形合体ミュージカルとのこと。
初見の私はびっくりして帰って来ました。

この劇団の存在を偶然SNS上で情報をキャッチして、
好きな人は好き!嫌いな人は嫌い!と、なんだか両極端別れそうな創作をする団体であることを知って、興味が湧いた。劇団HPの団体紹介で「音楽を悪用する音楽劇」という一文をみて、観に行ってみようと心が決まった。
私はどっちに分類されるかな。

観劇当日。
受付を済ませ場内に入ると、雰囲気はある意味開放的だった。
役者さんが前説をしていて、気さくにお客さん達に声をかけながら開演までの時間、写真を撮ったり掃除をしたりする。
前説の方は気さくで丁寧で、お客さんに配慮があるなぁと素直に感心しました。観る人によっては好きと嫌いがはっきり分かれることも前説内で話していらっしゃったので、そんなにか...と内心ドキドキ。

いざ上演が始まると、始まったのか始まってないのか、楽屋のドタバタを中継し、本当のトラブルなのかそうでないのかを思わせて、こちらをヒヤヒヤさせているなんだか面白い始まり方だった。
緞帳が開きますよ!っていうところからのスタートではないので、なおさら私が想像しているような演劇やミュージカルが展開されるのではないんだなと少しずつ確信を得るような感覚。

照明機材による効果が派手で、
なるほど照明でこういう雰囲気も創り出せるのねと貴重な照明効果体験もできたと思います。他では類を見ない演劇体験というか、ミュージカル体験というか、ライヴ体験というか...独特の世界観の2時間ちょいでした。

ストーリーは、キスを軸に、登場する人物達それぞれのキスの思い出を辿り、最終的には純愛を感じさせるような、バカバカしさのなかにも救いがあるような、そんなストーリー構成だったなぁと感じます。

さて、最終的に私は好き嫌いどっちに分類されたか
というと、
ぶっちゃけますが好きではありませんでした。

というのも観ていて1番ショックだったのが、
何度か途中、芝居が止められたことでした。

これは演出的にそうしているんだと思いますが、役者達が素に返ったように見える時間にとても冷めてしまっていたのです。
それも、「あ、ここ良いセリフだな」とか、このシーン盛り上がりだなと感じて気持ちがグッと前のめりになったところで止められて、舞台上の演者達が役ではなく団員に強制的に戻されてしまう。
気持ちを置いてけぼりにされてしまったような、あれ、ここはそんなに感動するようなシーンでもないのかしら?と混乱してしまったのです。

私は、この気持ちを突然突き放されるような感覚を1番しんどく感じていました。
照明を呼ぶときも、何度か役者さんが照明さんに声をかけるもピンスポはグルグルと回り、なかなか役者を捉えない。捉えたかと思えばまた明かりがどっかに行ってしまう。
スムーズに話が進まない構成が、せっかちの私には合わなかったように思います。

役者さんのリアクションが上手だから故なのかもしれませんが、その芝居を中断する演出のとき、笑っていいのか分からず、ただただ引いてしまうという時間が私には生まれてしまっていました。
笑いどころが分からず、困惑してしまうという場面が多かったように感じます。
結果、ラストに向かうにつれ、どういう風に作品を終わらせるんだろう〜と、ストーリーにはのめり込まない形で傍観していたような感覚になりました。

ただ、それぞれ個性が立つ役者さんは多かったなぁと思います。
音楽的なところで面白かったのは、楽器経験の経歴が様々で長くギターやピアノをやってきた人もいれば、まだ初めて数ヶ月という人もいる。
その中でも私はバイオリンの音が好きでした。
カモメの鳴き声のように聞こえて、なんかロマンチックだなあ〜とも思えて、印象的で頭に残っています。

自分にとってなんだかハマらなかったものをわざわざ書かなくても良いかなとも思ったんですが、
好き嫌いハッキリ別れることを宇宙論⭐︎講座の方が断言していたので、嫌いだった!という気持ちもそれはそれでアリなのでは?と思い、noteに書きました。

ただ、
嫌いだと感じさせても
公演後も頭にしがみついて、なんだかじわじわと考えたくなるような、このまとわり感は凄いなと思います。
サラサラ〜っと印象から抜けてしまう作品に出会うよりもよっぽど良い観劇体験だったと思います。

前に映画『ゴーン・ガール』を観た時に、
凄い嫌いなのに、なんか考えてしまう...人に話してしまう...っていうことがあったので、それと感覚が似ているな〜とも思いました。

好きな人は好きだと思います。
興味のある方は、機会があるときにぜひ。

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