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拝啓、ウエストランドのお笑いの「本質」を語る人たちへ。

M-1グランプリ2022がウエストランドの優勝で幕を閉じて、早くも一ヶ月が経とうとしている。この間、彼らが反コンプラの旗手として扱われることへの違和感だとか、「ウエストランドのお笑いの本質はそこにない!」といった主張をたびたび目にした。だけども、少なくとも審査員の一部はその点を評価する旨の発言をしていたのだから、やはり上(便宜上そう書きます)の思惑やトレンドと噛み合ったがゆえの優勝だと思うし、それに対しての反論は単なる逆張りにしか感じない。

彼らが受けた評価に乗っかっていくのか、それともあえてそこから外れて識者の言う「本質」をもって「実力」を知らしめるのかは自由だが、M-1優勝の理由のうち何パーセントかは「コンプライアンスへの配慮」という閉塞感を打ち破った結果であって、そこを履き違えると幸せな売れ方はしないだろう。

もちろん、実力がないとは言わないです。普通に実力で笑った。でも、それとこれとは別のはなし。あたかも「彼らの本質はそこにない」と「M-1グランプリ2022はトレンドを反映させたものではない」がイコールで結びつくかのように、なんとなくそれらしいことを語って論点をずらしている文章の多いこと多いこと……。

結局、お笑いへの精通ぶりを披露したいマニアばかりなのだ、と思うと悲しくなる。この、マニアによる「俺のほうが知ってるぜ! 合戦」は今回のM-1に限らず何かが評価されり売れたりしたときにはくり返し起こってきた事象なので、「またか……」と感じる部分が大きく言及するのも野暮だとは思う。なのに、言わずにはいられなかった。

もしかしたら、ファンは不安なのかもしれない。応援している芸人が、道を誤らないか、あるいは有名になって「自分の知っている彼ら」でなくなってしまわないか。それは、子を想う親の心に近い。しかし、親の過保護は子のためにならない。何千人、何万人という「親」をもつ売れっ子たちは本当に大変だ。「親の心子知らず」の面もあるとは思うが、だとしても大変だ。この先、悪口漫才の時代が訪れるかはわからないけれど、あまりたくさんの人の声に耳を傾けずに、信じる道を進んでほしい。

かくいう私はお笑いに詳しくない。だから、本来こうしたことを語れる立場にはない。では、なぜこのことを書いたのか? 言わずにいられなかったのか? それは「売れたい」と思っているからだ。つまり、ウエストランドに実力がないとか、トレンドにハマっただけの一発屋じゃないかとか、そんな批判をするつもりは毛頭なく、どちらかというと彼らに共感し、心配しているのだ。そういう意味では、私も「親」であると言えて、前述のお笑いマニアたちと大差はない。要するに、表現という鏡を通して自分を見ていたに過ぎなかったのであろう。

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