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教師の名言・格言 その2     「見れども見えず。」       「立場は人間を向上させる」

教職についていると出会ったり、浮かんだりする言葉があります。それらを自分なりに名言・格言としてみました。

No.004 「見れども見えず。」

見ていても本当は、何も見ていないことを表している。
有田和正氏の2年生の生活科の実践の一つに「アリの絵」というのがある。
社会科ではないが、図工での時間について書かれた実践文である。
子どもたちは、アリについては知っている。簡単に描けると言い張ったので、描かせてみた。
しかし、これは子どもの持っているアリについてのイメージだけで描いているだけであった。
脚のつき方も違うし、脚の向きも違っていた。
触角のつき方も場所もバラバラ。
まあ、仕方がない。
2年生では、見て描くのは難しい。
2つ目は、「バスの運転手さんの仕事」という実践もある。
この実践では、バスの運転手さんは、バスを運転したり、乗客からの乗車賃を確認したりする仕事というのは知っているが、具体的にどのような仕事をしているのかまでは分かっていない。
そこで、次のような発問をした。
「バスの運転手さんはどこを見ていますか。」
こう問うことで、バスの運転手さんの視線に着目させ、その視線からどのような行動をし、どのような仕事をしているのかを観察させた。
ただ単に、「運転している。」だけでなく、前方、ミラー、運賃箱、停留所など数多くの仕事があり、一つ一つが大切であることに気づかせている。
見るという活動には、「何を」見るのか。「どこを」見るのかに気をつけさせることで、仕事を具体的に知ることにつながることをここで学んだ。
理科の観察カードをかかせる場合もこの手法は使える。
昆虫に限らず、植物の観察にも使える。
教科書の写真を模写させるのも一つの方法であるといえる。
教科書の写真は、学習材の特徴をしっかりととらえたものになっている。
植物では、茎の伸び方や葉のつき方、花の形や咲き方、つき方がよく分かる。
それらを初めに模写させ、気づいたことを発表させた後、実際に観察させると特徴をとらえた絵になったり、観察の文も形や色、数や手触りなどまで書くことができる。
観察の視点を持たせることになる。少し時間はかかるが、一度このような授業をしておくと、次からの観察カードも詳しくかけるものである。

No.005 「立場は人間を向上させる」

この言葉は、教師に限らない。だれにでも当てはまる言葉といえよう。
教師として人前に立つ。
教室で子どもたちに話をする。
懇談会等で保護者の前で話をする。
大勢の前で司会をする。または、話をする。
このような経験を積むことにより、人は向上していく。
なぜ、そうなるのか。
理由はいたって簡単。
「人前で話をする。」「司会をする。」となると、準備をしなければならない。
そのために、勉強しなければならない。
おのずと知識が増え、話の順序を考えたり、話の内容を精選したりするなどのスキルアップがなされる。
これは、人前で話をするだけに限らない。
学校の研究の要の「研究推進委員長」になったとしよう。
一つの学校の研究の方向性を決めるのである。
当然、研究主題についての勉強しなければならない。
また、同僚から研究に対する質問も当然出てくる。
それらの質問に対して、一定の方向性をもった答えを出さないといけない。
自身の経験をもとに話をしよう。
「総合的な学習の時間」という学習が始まろうという時期に、その学校の研究推進長となった。
まず、「総合的な学習の時間」とはいったい何ぞ。というところから始まった。
幸い、附属小学校では「横断、総合的な学習」という研究をしている学校がたくさんあり、それらの学校の研発表会に進んで参加し、各出版社から出された「総合的な学習の時間」についての書籍も数多く出されていた。
片っ端からそれらを読むことで、「総合的な学習の時間」についての大まかな全体像をつかむことができた。
勉強することで知識が増え、一定の方向性が見えてくる。
同僚からいろいろな質問があったも、ちょっとやそっとでは動じなくなってくる。
これだけ自分で学んだのである。
その学校内で一番「総合的な学習の時間」について知り、イメージを持っているといっても過言ではないぐらいであった。
質問されて分からないものは、分からないと素直に言い、その質問に対して研究で明らかにしていきましょう。といって、研究を進めていくことができた。
こういった立場を引き受けるには、自分の実力よりも少しだけ上の立場がベストである。
少しの努力でスキルアップできるからである。

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