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芸術と朝ドラのはなし。

noteに何を書こうかと思っていたら(下書きは大量発生している…)、こんなに日があいていました。

最近、朝ドラの「エール」を観ています。私はドラマが好きなのですが、朝ドラは朝の時間が確保できなかったり、見忘れがあったりしてちゃんと観るのは安藤サクラさんがやっていた「まんぷく」以来となります。でも、最近の朝ドラは見忘れがあっても昼や夜に再放送があったり、キャストも豪華だったりして凄いですよね。

そんな中、最近観た朝ドラの内容が個人的に考えさせられる内容だったので、そのことについてツラツラと書いていこうと思います。      

その日の話は主人公のお嫁さんが通っていた声楽学校の双浦環先生(柴咲コウさん)のエピソードでした。その先生は、才能もあって、さらに行動力もあって努力家です。そんな先生も若いころは、なかなか才能を認められずにいたようで、パリに渡って、自分の実力を高めようとします。 パリに渡った先生はそこで画家の恋人ができるのですが…という内容でした。

⚠ここからはネタバレが入ってきます⚠

画家・今村嗣人(金子ノブアキさん)と先生はホームパーティーで知り合い、恋人になります。その頃は先生よりも恋人の方が名前が売れていて実力もある状態でした。最初はオーディションに落ちてしまう先生を慰めるのが恋人の役目になっていた様子ですが、ある時からその関係図が変わっていきます。

ある朝の新聞で、画家の講評をする人が恋人の絵のことを「ありきたりの絵で残念だ」というような批評を載せました。どうやら、その頃から恋人の方はスランプに陥っていたようです。反対に先生は、飛び入りで参加した主役のオーディションの一次審査に通ってしまいます。泣いている先生をいつも通りに慰めようとした恋人は先生からの「まだ一次審査だけど、通ったの」という言葉に「音楽をやめてくれ、でないと君とは付き合えない」と感情を爆発させてしまうのでした。

思うに、恋人の方は上手くいっていない先生を慰めることで自尊心を保っていたのだと思います。それがいつの間にか形勢逆転をされそうな危機に瀕していた・自分が落ちぶれていくのを上手くいっている人に見られるのが耐えられないのではなかったのかと思いました。特に、時代背景はまだまだ女性が活躍することを良いように見られなかった時代でもあります。「表舞台に立つよりも、自分を陰から支えて欲しい」と考えるのも無理はありません。何よりも、自分が上手くいっていない時に自分よりも上手くいっている人が近くに居るというのは分野が違っても、いい気分になる人はそんなに居ないのではないかと思います。

恋人が無意識だったとしても、「自分よりも落ちぶれている人を慰める、その事で自分を優越感に浸らせる」。反対に先生の様に「自分の好きな人が頑張っている姿を見て、応援する、励ましあう、もっと自分も頑張ろうという気になる」方が難しいように感じます。

この回が放送された後の感想コメントで「それは本人の努力が足りなかったからだ」という類のコメントも見ました。でも、私はどうしてもそれに疑問を感じてしまって。短い期間ならまだしも、ずっと何かを続けていく、ってすごく大変なことだと思うんです。しかも、いつも順風満帆な時ばかりではない。いい時もあれば、もちろん悪い時もある。どうしても、どれだけ努力しても元々の持ち味、センス、要領の良さで努力だけでは埋まらないものだってある。それを「努力が足りない」と言われるのはあまりにも酷なのではないかと思ってしまったのです(もちろん、色々な感想があって当然なのですが)。

特に、先生は自分が上手くいくから、才能があるからと言って努力を疎かにしたり、自慢する様子もありません。これは、才能に恵まれない者にとっては「せめて何か欠点が見つかればこんな思いをしなくて済むのに」と考える要因でもある気がします。いつぞやかに、「本物の天才はいちいちその事をひけらかしたりしない。わざわざ自分にとって出来て当たり前のことを他人に見せつけたりしない。本物の天才はさらに高みを目指そうとする。自慢したり、ひけらかしている人は案外自分に近い立場にいる人だ。」と聞いたことがあります。先生は、さらなる高みを目指していたからこそ自分の実力に満足していない様子だったのかな、と思いました。

結局、先生と恋人は別れてしまうのですが、物語の終盤で恋人の方も少し吹っ切れたようでスランプから脱却できそうな様子でした。そこのシーンを見る限りでも、恋人は決して先生を嫌いになって別れたわけではなく、自分のこれからのために別れたんだな、それがこの人を成長させたのだなと分かって嬉しくなりました。

恋人が先生に言った最後の言葉が「君と一緒に居る時の自分が嫌いになってしまう」でした。恋人は、好きな人といる自分がどんどん醜くなっていくのも、先生が好きだった自分の姿から遠ざかってしまうのも耐えられなかったのかな、と思えて凄く印象に残っているセリフです。

今回は朝ドラの話をしました。長くなった割には、あまり上手く伝えられずに申し訳ありません…。でも!俳優さん、女優さんはもちろんのこと、時代背景を考えると立場的に厳しかったりマイノリティだったのだろうなと思う考え方でも、自信をもってキラキラしています。一人一人のキャラも立っていてとても面白いと思うので、興味があったらぜひ観てみてください。ちなみに私は古川雄大さん演じるミュージックティーチャーこと、御手洗先生がオススメです。

今日の写真は夕方から夜に変わる少し前の写真です。

では、また。






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