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#さよならVtuber 〜気づいたら”Vtuber”カテゴリが終わっていた話〜

とあるRING LIGHT編集長の休日


おーうら「そういやさ、"最近盛り上がってるから"っていう理由でVtuberとタイアップしたい旨の相談がこの2年くらい続いてる気がして、そろそろもう少し科学できないかな?」
謎のお茶相手「じゃあおーうらさん、『マーケターさん、もうVtuberって言うのやめて』って、RING LIGHTで言ってください」
おーうら「おけ。……おん????」

***

なんだかツヨめなタイトルをつけてしまいましたが、
RING LIGHTはいつだって前向きなお話なのでご安心ください。

こんにちは、RING LIGHT編集長のおーうらです。
noteもちょっと軌道に乗り始めて、社内でも「次はこのテーマ書いてよ!」とか、社外の方からも「読んでます!」とか、モチベましましRING LIGHT編集長ですが、こんな風にテーマが決まったのは初めてです。

今回はおーうらと超仲良しの、”VtuberプロデューサーRくん”とのリアルな休日の会話から生まれたコンテンツ。
これは、ニュアンスをできる限りそのまま伝えなくてはいけないという使命感から、堰を切ったように語りだしたRくんの言葉をメモりにメモった壮絶なノンフィクションドキュメントです。

”Vtuber”って聞いた瞬間、思考停止する

ご相談いただく時、そんなご担当者にたくさん会います。(わかる)
でもこのnoteを最後まで読んだときには、いわゆる"Vtuber"の捉え方が少し変わるかもしれません。
さて、プロデューサーRくんに思う存分語っていただだきましょう!

"Vtuber"ってなんだっけ

「多くの方がパッと想起されるのは、"キズナアイ"でしょうか。数年前までは顔出しやアイコンレベルでしかキャラ付けできていなかった中、"顔出しをせず、実際に動き喋ることで行う感情表現を、主にリアルタイムでコミュニケーションする配信形態"を、文化レベルで確立しました。その配信者をバーチャルYouTuber=Vtuberと表現していますよね。」

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🐼 おーうらの相槌
うんうん。それ以降、Vtuberの母数やファン数がどんどん増加して、"Vtuber"という1つのカテゴリとして成り立っているイメージがあるね

いわゆる”Vtuberカテゴリ”はとうに終わっている件

「はいそこ、おーうらさんしっかりしてください。インフルエンサーマーケティングにおいては”Vtuber”という括り方はもう古くなってるんです。少なくとも視聴者にとってはとっくに。わかりますか?」

🐼 おーうらの相槌
ごめんなさい

「まず今、いわゆる”Vtuber”という言葉が意味するのは、"アバターを持った一般人"です。そのくらい誰でもなれるし、名乗るハードルが低い。そして有象無象に増えた一般人ほど"Vtuber"というカテゴリにこだわり、一人の配信者として育つほどそのカテゴリから飛び出していく。そこで、マーケターから”Vtuber”で何かやりたいっていわれる。でも実際に求めているのは後者であって、IPとも言える配信者たちのことでしょう?それって、求めている本質はもはやVtuberであることじゃないじゃないですか。結局はある商材があって、消費者と正しいコミュニケーションでインパクトを生める人を探すべきであって。そういう意味で"Vtuber"というカテゴリはもう死んでるんですよ。」

🐼 おーうらの相槌
なるほど…うちらは、そのカテゴリを飛び出したはずの人たちを"Vtuberカテゴリ"でなお囲っていたんだ。実際はもう、"バーチャルという形で個人の表現幅を広げた1人の人"なんだよね。


"Vtuberファンって熱量高いよね"と言われてる件

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(Googleトレンドより)

「Vtuberは2017年末あたりから一気に注目を浴び始めてました。キズナアイとかこの辺の話です。3、4年前は、たしかに"男性のオタクたちの文化"という印象ですね。もしかしておーうらさん、今もまだそのイメージがあるんなら、はやくアップデートした方が良いですよ?(灰色の目)」

🐼 おーうらの相槌
だいじょぶ!!それは!!だいじょぶ!!涙
今は歌い手とかゲーミングチームなどの違う属性もあるよね。

「そう。そしてここ2年で女性の視聴者が入ってきました。大手Vtuber事務所"にじさんじ"の中で、チャンネル登録者トップの"葛葉(くずは)"と"叶(かなえ)"はどちらも男性です(2021年12月時点)。女性ファンも多く抱えている2人がトップなんですよ。以前までいわゆるステレオタイプのVtuberオタク像というのが変わってきて、もっと色は薄まって、マスになったような印象です。でも今も"Vtuberはファンの熱量が高いから"相談がきちゃう。4年前だったら当時のファン属性からも高いといえました。でも、今その質問には、『うーんちょっと待って!』ですよね。今が低いとは言いません、その"Vtuberという括り方"に違和感があるせいで話が止まっちゃう。結局はその"人"の熱量であり、そこからなのに。」

🐼 おーうらの相槌
そういうことだよねえ。


とはいえ、いわゆる"Vtuber"の強みはありそう


「強いていうなら、彼らは"ライブ配信の畑"で育ってきた人ですよね。リアルタイムで正直なコミュニケーションを期待できること、生のリアクションに向いている人が多いです。いわゆるYouTuber(本来なら分解するのはナンセンスなんだけど)に多いのは、面白いシーンを集め、魅力的に編集した結果ごと評価されている。配信者は"垂れ流し"でファンをつけてきたのですから、その土地柄の強さはあります。」

🐼 おーうらの相槌
なるほど、ゲーム配信でいわゆるVtuberが想起されるのは見当違いではないんだね。ざっくりとはね。("Vtuber"って口に出しにくくなってきた)

トレンドと、ここ1年の話。


「今のトレンドはeスポーツ系でしょうね。大手事務所"にじさんじ"所属のeスポーツ配信者は、"まふまふ"などの歌い手界隈とコラボしてるんです。その系譜のまま、プロゲーマーともコラボしたり。それだけじゃない、VtuberはVtuber同士と閉鎖していたのが、eスポーツを通してプロゲーマーなどの生身の人間ともコラボをするようになった。色々な垣根がなくなってきているんです。」

🐼 おーうらの相槌
ごめん、eスポーツってAPEXとかも?そんなに画期的なんだっけ?

「そうですね。それらのゲームの性質により、大人数or複数人で一緒に配信する流行を生みました。界隈問わずみなさんやれる、要はネットゴルフのような。みんなやってるから自分もやる、人脈広がるからコラボもする。プロゲーマーチームも、歌い手も、垣根を越えた外部とのコラボで伸びてきています。」

🐼 おーうらの相槌
ほええ…(プシュッ🧠💨 )
あ、じゃああれは?Vtuber事務所!いわゆる、"箱"っていうやつ!

Vtuber事務所について知っておきたいこと

「まず押さえておくのは、"にじさんじ"と"ホロライブ"(以下:にじホロ)。」

🐼 おーうらの相槌
いわゆるYouTuber事務所でいうと"UUUM"みたいなイメージだよね!

「そうそう。そしてここで紹介したいのは、"ぶいすぽっ!(以下:ぶいすぽ)"という事務所。確かに大きいのは"にじホロ"ですが、"ぶいすぽ"のように時代にマッチし特化した事務所が伸びています。"にじホロ"以降のVtuber事務所は伸びづらく、飽和している状況でした。その中で"ぶいすぽ"は、『APEX』などのゲームコンテンツの波に乗り、そこに特化したユニットが確実に数字を取りにいったんです。今や配信時の同時接続が4桁ありますよ。そして、もう1つだけ紹介したいのは、"merise"という事務所です。ここの特徴は、"既存Vtuber"と"元々はVtuberの畑ではなかった属性"のインフルエンサーがタッグで参入している点ですよね。」

🐼 おーうらの相槌
Vtuber事務所も、そのあり方や境界線が変わってきてるのか…

終わったはずの"Vtuberカテゴリ"思考が生む弊害


「『ゲーム実況に適したインフルエンサーリスト』になぜかいわゆるVtuber全部が入っていたりするんですが、それは困ります。生配信の畑で育ってきた強みはあります、でも、有象無象のソーシャルゲームをプレイさせてリアクションをとらせるイメージを持っているのであれば厳しいです。要は商材と視聴者の属性があっていないんです。これはインフルエンサーマーケティングの基礎でしょ?ね?おーうらさん!」

🐼 おーうらの相槌
おっしゃるとおりです先生

「若年層ほどみんながやってる流行っているゲームをやる。メインターゲットが年齢層上で普段運用広告を回して獲得しているようなところはマッチしないことが多い。結局"やらされてんな"ってなるんです。生身でもバーチャルでも。Vtuberの視聴者だって案件動画をそもそも見なくなりますよ。マーケターに必要なのは、配信者側がそれをやりたくて、ファンがそれを見たいとなれる座組みづくり、仕掛け作りじゃないですか。それなのに、まず"Vtuberリストください"で括っちゃう。おーうらさんは、スキンケア商材だからって女性と括って全部片っ端から実施しますか?まず施策目的から2軸論に落とすでしょ?」

🐼 おーうらの相槌
はい先生

企業案件だって垣根を越えられる

「LIVE配信で力を発揮しやすいのは前述の通りです。実は配信中にご飯を食べられますし、例えば、ふるさと納税の返礼品など、地方などともコラボしていきやすいですよね。あとは本人のプラットフォームに考えを限らないで、"キティちゃんコラボ"のように、IPを借りる感覚でのタイアップがやりやすいのではないでしょうか。そんな感じで、バーチャルであるための強みはプラスになりますよ。」

🐼 おーうらの相槌
食べれんの?!表現幅も広がってるんだね。たしかに、画面とネットがあればどこにでも移動できるし…。でも結局、本人のインフルエンサーとしての個性ありきなので、忘れないでってことだよね。

***

どうでしたか?

なんだかVtuberって安易に口に出すのが怖くなった気がしますが、そうではなくて、本質は"Vtuberカテゴリありき思考"からの脱却でした。

Vtuberカテゴリ思考が根強く有る限り、いつまでもVtuberとのコラボは"一か八か"のようなポジションだし、企業にとっては"一風変わった施策"でも視聴者にとってはただの"アンマッチ"になる。Vtuberとタイアップすることが目的になって、「あれ、なにやりたいんだったっけ?」って…たしかに、これって3年前のYouTuberタイアップだなあ。

『さよなら、かつてのVtuber思考。おはよう、バーチャルという個性の表現幅を身につけた、素晴らしいインフルエンサーたち!』

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(ちょっと頭が疲れたので、2人で甘いものを注文しました。)



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