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やじられて きたえられると ひざくりげ

【文字数:約1,300文字】

 先日に観た番組で、十返舎一九『東海道中膝栗毛』の特集をしていた。

 ちょうどフォローしている方が同作のパロディを書いており、町を散策するブラロ〇リっぽい記事も始めたようだ。

 パロディの「まえがき」が令和5年の1月4日に始まり、イタリア語版と原典を元にしているというから、同作への強い意気込みが感じられる。

 それをかの国と日本を行き来する人間が取り組むのだから、本編の開始前から大変に興味深い。

 しかも「まえがき」の末尾には、次のような記述がある。

《 ...そう言えたら、すぐにでも筆が執れるのだけれど。 》

 何を言いたいのか気になった方は記事を読んで欲しいけれど、書きながら筆が~とするのは余裕の現れに思える。きっと実際は大谷翔平のように、筆をフルスイングしていたに違いない。

 それを攻撃力の現れとするならば、実際に旧東海道を歩くのは守備力の顕現ではなかろうか。

 「二刀流」には俗な意味もあったかと記憶しているが、そんなものは笑ってバイバイしなけりゃ、こらしめてやろう。これがWBCの語源らしい。知らんけど。

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 番組では旅のガイドブックとして『東海道中膝栗毛』を取り上げ、なぜ当時の人々が旅をしたがったのか、実際に旅をするための準備などが語られる。

 紹介したパロディでは面白さに全振りフルスイングなので、令和の滑稽本として読める一方、そうした話がウケた理由は守備範囲の外にある。バッターアウト!

 当時は土地に人が紐づけられ、自由に移動することができなかった。

 そんな時勢に農民が旅をするには、豊作祈願のための伊勢参りという御題目が必要で、それを幕府も認めていたそうな。

 アメとムチだと思いつつ、生まれた土地で一生を過ごす人が大半だったろう当時、伊勢参りの旅は親を質に入れても実現したかったに違いない。

 それは冗談にせよ、旅をするには今も昔もお金がかかる。

 うろおぼえながら江戸~伊勢の往復で、現在の金額にして60万円が必要だったとか。

 そのお金を伊勢講と呼ばれる組織で集め、今年はそのうちの2人、次は別の2人というような順番で運用したと。

 これを知って「なるほど」と膝を打ったから紹介したわけではなく、フォロワーさんの頑張りを広めたいと思ったからだ。ほんとホント、マジぱないって。

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 これから旧東海道をブラロ〇リをするにあたって、やはり難所は箱根だろう。そして駅伝選手ばりの快走をするのか、それとも現代の馬に乗っていくのか興味は尽きない。

 先日に読んだ新聞にて、コロナにより人が旅をしなくなったことで、自分の思考に閉じこもってしまう、という宿の人の話が載っていた。

 かの人はイタリアと日本を往復するだけでなく、周辺国へも足を伸ばして様々な物に触れている。

 日本すげぇと、にわか作りの愛国心とダンスをするのは、おそらく人の持つ業ではなかろうか。

 現実問題として旅に行く余裕がない人はいる。

 お金、体力、時間の3つが揃うゴールデンタイムは、決して訪れないと言われるように、旅をするには勇気がいる。

 それでも日本とそれ以外を並べて考えられるよう、『東海道中膝栗毛』の主人公2人の滑稽さを身につけたいものだ。

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