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ノーコピーライトノベル©

【文字数:約1,300文字】

 先日、ニュースサイトで ↓ の記事を読んだ。

 AIの書いた投稿作品が増えたせいで人間の書いたものが埋もれ、投稿そのものが終了に追い込まれたという内容で、やっぱりこうなったかと落胆した。

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 小説を読んで内容の良し悪しを判断するのは時間がかかる。

 読むのに慣れているとしても、本筋となるストーリーや描き方を読み解くために、たとえば10万字の作品で3~4時間はかけたいところだ。

 公募は求める商材でなかったり、そもそもの展開が破綻している作品などを1次審査で振るい分け、以降の2次や3次で本格的な査読をしているとも聞く。

 小説はマンガと異なり、ありふれた文字によって作られているために差別化が難しい。

 もちろん文体や展開などは作者の個性にるけれど、ぱっと見は文字の羅列に過ぎないため、いちいち「解読」する必要がある。

 時間と手間がかかる一方で、AIならwebにあるものを総動員して、それらしいものが作れるらしいと、前に投稿した記事で書いた。

 公開することを目的にした無料作品は、ここnoteだけでも数多く存在し、専門の投稿サイトを含めれば星の数に届くかもしれない。

 そうしたものから展開だけ、文体だけと抜き出して、シャッフルのち調整をかけてやれば、それなりのものが作られるのも自然な成り行きかと思う。

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 AIによる作品はオリジナルの劣化コピーではなくとも、良くも悪くも斬新な発想を持っている可能性は、人間よりも低いと私は思う。

 そもそもAIは人間が面白いと感じやすいものを並べているだけで、AI自身は判断する能力を持たない。

 AIの「正しさ」は集合知の平均によって作られると考えられ、社会として「正しくない」と判断されるようなものは生まれない気がする。

  少し前にコメントで言及した黒澤いづみ『人間に向いてない』は、子供が異形の怪物へと変わってしまう母親を描いている。

 マンガ作品だと真鍋昌平『闇金ウシジマくん』は、タイトル通り法外な金利で金を貸す闇金業者の話で、誉め言葉として酷い内容だ。

 どちらも「正しい」とされる価値観から外れており、人権軽視というか否定するような内容を含むため、有害図書と呼ばれても納得してしまいそうになる。

 人間は正しさだけで作られているわけではなく、油断すると怠けたり楽をしようとするし、他人をねたんだりうらやんだりと様々な面を持っている。

 もしも世界が「正しさ」のみになったら、それはもう「普通」になってしまい、非常につまらないのではと想像する。

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 以前、webに公開している作品を、勝手にKindleで販売されたという話を聞いた。

 イラストを許可なく商品化された話もあるし、webに公開する時点でそのリスクを受容していると考えても、それほど行き過ぎだとは思わない。

 とはいえ、広く公開することで認知されやすくなるのが、世界をつなぐwebの大きなメリットでもある。

 表現することに重きを置くならいいけれど、今後いっそう金銭としての価値を付けるのが難しくなるように思えるのだった。





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